今回はバレーボールのスパイクと疼痛について
スポーツ競技において、何らかの怪我をしてしまうことは珍しくはなく、怪我具合によっては休まざるえないことがあります。
そんな怪我を予防したり、怪我をしても一日でも早い復帰のため何らかの対策を行ったりと、競技者の必死さを見たことがあります。
柔道整復師という仕事柄、そういった人達を対応することは多くありますが、少しでも良くなるならどんな方法でも貪欲に取り入れる人が多いという印象もあります。
今回はバレーボールのスパイク時に肩部痛がある際は、何が原因なのか?を調査している研究を紹介します。
研究の内容
スパイク時に肩の痛みを伴う20人のアマチュアバレーボール選手と、20人の性別、年齢、競技経験年数が一致する対照参加者と比較した研究となります。
スパイク中の肩関節、肩甲骨、および体幹の3次元運動学を、電磁追跡システムを使用して評価したものとなります。
結果、対照群と比較して場合、肩の痛みのある人は肩甲骨の後方傾斜が少なく、肩甲骨の水平外転と肩甲骨の内旋が、クロス動作を行った時により強調されている特徴がありました。
考察
肩甲骨の後傾角度の減少が、水平外転と肩甲骨の内旋の増加とともに、肩の痛みと関連していたという結果でした。
臨床の経験のある人ならば、こういった肩の状況の時にある疾患や特徴が想像ついているかと思います。
そう、インピンジメント症候群です。
この運動動作の特徴から、上腕骨頭にかかるストレスから、肩峰下などにインピンジメントが起きていることは考えられやすいものです。
しかし、インピンジメント症候群といえど、理学検査では偽陽性となることもしばしばあるため、安易にこの動作の特徴がイコールインピンジメントと考えるのは危ないです。
痛みの原因をしっかりと分析しなければならないということです。
痛みがない人と痛みが出ている人の特徴として、はっきりと肩甲骨の後傾が減少している、という事実はあります。
今回の研究でいいますと、介入後の検証では5種のインピンジメントテストを実施し、ポジティブとなったのは2種のみ。
そして、スパイクした瞬間は疼痛がない、スパイク後に疼痛がある、普段から肩部痛がある、ということでした。
まとめ
スパイクと肩部痛に関連する動作不良のヒントが得られる研究となりました。
結果から安直にインピンジメントと考えるのはどうなのかと思いますが、現場ではこういった判断が起きてしまいがちです。
そういうことを自分自身にも言い聞かせながら読んでいました。
Shih YF, Wang YC. Spiking Kinematics in Volleyball Players With Shoulder Pain. J Athl Train. 2019;54(1):90-98. doi:10.4085/1062-6050-216-17