今回は下前腸骨棘裂離骨折後の股関節のインピンジメントについて
下前腸骨棘の裂離骨折とは?
青年期に骨盤の剥離骨折はよく知られていますが、発生率としては稀なものと考えられています。
リスクの高い競技や特徴として、青年期のサッカー選手、陸上競技選手、体操選手、テニス選手といったところです。
剥離する場所は、競技特性によって左右されますが、サッカー選手の場合は、股関節屈曲時の大腿直筋の力強い収縮と蹴り時の膝伸展により、下前腸骨棘(AIIS)の剥離骨折のリスクが高くなります。
実際、AIIS剥離骨折の約50%はシュート動作によるものです。
これらの骨折は、標準的な骨盤X線では見えないことが多く、高度な臨床的疑いが必要なため、診断が難しいことがあります。
症例
X線による画像診断は、AIISから117 mm遠位に伸び、最大横方向距離が64 mmであるAIISの大きな異所性骨量が顕著なものでした。
手術室は、股関節への前方スミス-ピーターソンアプローチを通じて異所性骨化を除去する形で行われました。
大腿直筋の起始部の大部分がまだ腫瘤の遠位面に付着していることがわかり、切り離され、tenodesedされました。
術後、患者は1ヶ月間インドメタシンを投与されることになり、2か月後のフォローアップにて競技復帰しました。
1年後のフォローアップで術後X線検査では、新しい骨沈着を示さず、2年後のフォローアップで、120度の股関節屈曲と完全な内外の可動域が確保されました。
この経過の中で、患者は術後2か月、12か月、および24か月の来院時に痛みを0/10と評価しました。
まとめ
Lambrechts MJ, Gray AD, Hoernschemeyer DG, Gupta SK. Hip Impingement after Anterior Inferior Iliac Spine Avulsion Fractures: A Case Report with Review of the Literature. Case Rep Orthop. 2020;2020:8893062. Published 2020 Oct 20. doi:10.1155/2020/8893062