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Hip Impingement after Anterior Inferior Iliac Spine Avulsion Fractures【下前腸骨棘裂離骨折とインピンジメント】

Monday, February 15, 2021

整形外科



 今回は下前腸骨棘裂離骨折後の股関節のインピンジメントについて


下前腸骨棘の裂離骨折と言えば、主にサッカー選手で起こる疾患として有名ですが、頻繁に発生する骨折ではありません。

私は1例しか見たことがありませんので、紹介する症例ではどのような転帰となったのか?ということについて勉強していきましょう。

下前腸骨棘の裂離骨折とは?


青年期に骨盤の剥離骨折はよく知られていますが、発生率としては稀なものと考えられています。


リスクの高い競技や特徴として、青年期のサッカー選手、陸上競技選手、体操選手、テニス選手といったところです。


剥離する場所は、競技特性によって左右されますが、サッカー選手の場合は、股関節屈曲時の大腿直筋の力強い収縮と蹴り時の膝伸展により、下前腸骨棘(AIIS)の剥離骨折のリスクが高くなります。


実際、AIIS剥離骨折の約50%はシュート動作によるものです


これらの骨折は、標準的な骨盤X線では見えないことが多く、高度な臨床的疑いが必要なため、診断が難しいことがあります。


症例


・15歳の男性

右股関節痛と股関節可動域の減少を訴えて来院しました。

サッカーの試合でプレーしていた18か月前に怪我を思い出し、当時の受傷機転などの詳細なカウンセリングが行われました。

彼は右脚の付け根に筋肉が引っ張られているのを感じ、プレーを中断したが10分の休憩の後にプレー再開したとのこと。

痛みが続いたため、その日のプレーをやめましたようです。

翌年、彼はしゃがんだり蹴ったりすることで股関節の屈曲が困難になり、それに伴って痛みが増すことに気づきました。

彼は初回受傷から18ヶ月後に、検査のために病院に受診しました。

身体検査では、彼の右鼠径部の領域に大きな固い塊があり、股関節屈曲は反対側の120度と比較して、患側では70度に制限されていました。

そして、患側の外旋角度は0°度となっていましたが、内旋角度は40度ありました。

X線による画像診断は、AIISから117 mm遠位に伸び、最大横方向距離が64 mmであるAIISの大きな異所性骨量が顕著なものでした

コンピューター断層撮影(CT)画像が得られ、117mm×65mmの骨の「塊」を伴うAIIS剥離骨折の診断の疑いが確認されました。

および3)。患者は、理学療法、活動の変更、および非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)を含む6か月の保守的な治療に臨みましたが失敗しました。

したがって、腫瘤の切除のための外科的治療が行われることになりました。

手術室は、股関節への前方スミス-ピーターソンアプローチを通じて異所性骨化を除去する形で行われました


大腿直筋の起始部の大部分がまだ腫瘤の遠位面に付着していることがわかり、切り離され、tenodesedされました。


術後、患者は1ヶ月間インドメタシンを投与されることになり、2か月後のフォローアップにて競技復帰しました。


1年後のフォローアップで術後X線検査では、新しい骨沈着を示さず、2年後のフォローアップで、120度の股関節屈曲と完全な内外の可動域が確保されました。


この経過の中で、患者は術後2か月、12か月、および24か月の来院時に痛みを0/10と評価しました。


まとめ


稀に起こる本症に、さらにインピンジメントも起きるといった症例でした。

まず、保存療法は適さないだろう、という感触は文面からも感じましたが、現実の問題として似たような症例で保存治療し続けた例を1例聞いたことがあります。

その症例は結果的に競技に復帰しても、満足に運動することが叶わずに引退した、というものでした。

同意の取り方は難しいこともあり、医療従事者の話し方次第では患者の望まない方向になることもあります。

きっちり判断できるようになりたいものです。


Lambrechts MJ, Gray AD, Hoernschemeyer DG, Gupta SK. Hip Impingement after Anterior Inferior Iliac Spine Avulsion Fractures: A Case Report with Review of the Literature. Case Rep Orthop. 2020;2020:8893062. Published 2020 Oct 20. doi:10.1155/2020/8893062

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