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Extensor Tendon Dislocation at the Metacarpophalangeal Joint of Both Ring Fingers Caused by a Specific Hand Posture in a Shiatsu Therapist【手指伸筋腱脱臼】

Sunday, February 14, 2021

整形外科



 今回は女性セラピストの環指の伸筋腱脱臼について

手技を用いて、筋肉や関節に働きかける職業でもあるセラピストは、指を痛めることがあります。

手技の種類によって痛める箇所は異なってきますが、母指が多いのではないのでしょうか?

そういう私も、整骨院で働き始めた当初は親指が痛すぎて眠れないこともありました。

痛める手技がどうこう言うものではありませんが、紹介する症例では環指の伸筋腱を脱臼するというものです。


伸筋腱脱臼?

先天性、組織の変性、外傷、自発的な矢状バンドの裂傷で起きるとされている伸筋腱脱臼です。

この中から、最も頻繁なに起きるのは、組織が変性して起きる脱臼で、通常関節リウマチの患者に発生するものです


症例

・43歳の女性指圧セラピスト
・職歴20年

左薬指(彼女の利き手ではない手)のMCP関節の突然のスナップと、MCP関節の背面の痛みを訴え来院しました。

患者から、過去に外傷を含む矢状帯弛緩の素因となるような状態でなかったということです。

2週間後、右薬指にパチンと痛みが発生しました。

身体検査では、両方の薬指のMCP関節の背側にある伸筋腱が、特定の手の姿勢で脱臼しました

薬指のMCP関節を積極的に伸ばすと、伸筋腱がスナップで減少しました。

ただし、中指と薬指の両方のMCP関節を一緒に曲げた場合、薬指伸筋腱は脱臼しませんでした。

X線撮影ではMCP関節の変形は見られませんでした。

患者は、ブレースで作業を続けることができなかったため、MCP関節拡張ブレースなどの非手術的治療に応じることはありませんでした。

初診から4週間後、両薬指の伸筋腱をリストブロックで再建しました。

薬指のMCP関節の背側にある縦方向に湾曲した皮膚切開を行い、著しく減衰した橈骨矢状帯と両側に脱臼した伸筋腱が明らかとなりました

中手指と薬指の間の総指伸筋の腱接合部にひだを付け、尺骨矢状帯を部分的に解放して、術中のMCP関節の全可動域を通じて、脱臼することのない総指伸筋の可動域を広げました。。

また、アクティブな指の可動域もテストしました。


術後、MCP関節の不注意による受動的屈曲を防ぐために、前腕ベースの掌側プラスタースプリントを備えた、ハンドドレッシングを伸ばされた位置でMCP関節に適用させました。

積極的な屈曲および伸展運動は、術後1〜6週間で実施されました。

術後6週間で、スプリントを取り外し、すべてのMCP関節の動きを許可しました。

患者は脱臼やMスナップなしでセラピストとしての仕事を再開しました。

すべての指の動きは、どちらの手でも制限なしで実行され、術後26か月後、伸筋腱の脱臼や両手でのパチンという音もなく、作業中も痛みがないと報告されました。


まとめ

この症例だと、仕事柄保存療法は出来ないことから外科的治療を行っていますが、急性損傷であれば保存療法が適応することもあります。

しかし、亜脱臼が矯正されない場合はこの症例のように外科的治療となることがあります。

セラピスト特有の手の形による負荷で起きたと考えられるものですが、ケアをしたから伸筋腱の脱臼を予防できるとは限りません。

予防するとすれば、それぞれの伸筋腱に望まない牽引力をかけ続けないように、フォームを改善したりする方が望ましいそうです。


Kamiya M, Sasaki G, Ikuta K, Miyamoto H, Kimura M, Kawano H. Extensor Tendon Dislocation at the Metacarpophalangeal Joint of Both Ring Fingers Caused by a Specific Hand Posture in a Shiatsu Therapist. Case Rep Orthop. 2020;2020:6842986. Published 2020 Sep 22. doi:10.1155/2020/6842986

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