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Delayed pulmonary embolism after COVID-19 pneumonia【COVID-19感染の症例】

Thursday, February 4, 2021

感染症



 今回はCOVID-19感染の症例報告について

COVID-19については、続々と感染した体験談などが述べられており、一般論として1人の体験談で十分な情報となります。

しかし、医療従事者らはこれらの体験談を得たとしても、臨床であたる症例すべてに適応できるわけでもなければ、具体的な転帰などがわからないため、症例報告などを見て学びます。

今回は2例の症例報告がレビューされていましたので、詳細含め紹介いたします。


症例①


・68歳
・重度の喫煙歴(60年もの)
・高コレステロール血症

3日間の発熱と筋肉痛の後、多発性肺炎(22サイクル/分)と室内空気中の低酸素飽和度88%を示し、身体検査では両下部肺野に粗いクラックル音を示していました。

RT-PCR検査で、SARS-Cov-2陽性となりました。

初回入院時のCT検査では、肺実質の10〜25%と推定されるCOVID-19病変の拡大を伴う、根底にある小葉中心性肺気腫病変を伴う末梢すりガラス状混濁を示しています

ECGは正常です。

中等度のリンパ球減少症が存在し、CRPとD-ダイマーの値が増加しました。

BNPとトロポニンIのレベルは正常でした。

LA検査は陰性でした。

鼻カニューレ(8L / min)の動脈血ガスは、PaO2 60 mmHg、PCO2 37 mmHg、およびSaO2 90%を示しました。

これらの検査結果から、LMWH、エノキサパリン40mgを1日1回、セフトリアキソン、ヒドロキシクロロキンによる治療を開始しました。

翌日、酸素流量が15 L / minに増え、人工呼吸器を装着する必要はなく、8日後に症状は改善し退院していました。

退院から48時間後、急速に呼吸困難と重度の低酸素血症を示しました。

D-ダイマーレベルは高くなりましたが、トロポニンIとBNPは正常なままでした。

再度、胸部CT検査を行い、30%の拡張を伴う感染性病変と肺塞栓症と診断され、右肺動脈、および右上葉部の異常を示しました。

治療は、ヘパリンを開始し48時間後に1日2回LMWHに切り替えました。

2回目のLAテストは陽性でした。

ワルファリンによるビタミンK拮抗薬治療が開始され、抗凝固療法を中止すべきかどうかを決定するために、3か月後に2回目のLAテストが計画されました。

退院後1ヶ月で心臓専門医に相談するように勧められた。

という例でした。


症例②

・62歳
・拡張型心筋症
・心血管危険因子あり(喫煙、高血圧、2型糖尿病、高コレステロール血症)

5日間の発熱、咳嗽、筋肉痛の後に呼吸困難が起きたため受診しました。

検査は入院時に行われましたが、異常を示しませんでした。

肺聴診で異音は検出されませんでした。

RT-PCR検査はSARS-Cov-2陽性でした。

CT検査では正常でした。

ECGは洞性頻脈を示しました。

CRPはわずかに増加していましたが、白血球増加症ではありません。

入院中、トロポニン、BNP、またはD-ダイマー検査は実施されませんでした。

入院時の室内空気中の動脈血ガスの異常にもかかわらず、患者は2日間、低流量の鼻から酸素吸入を受けていました。

5日間の入院中に1日1回エノキサパリン40mg投薬が唯一行われた治療でした。


退院から4日後、呼吸困難になったため再受診しました。

2回目のCT検査では、複数の胸膜下すりガラス状混濁と、左下葉の肺塞栓症を診断する異常所見が示されました

CT血管造影による心臓の4腔像は、正常な右心室サイズを示し、心臓バイオマーカーは上昇していません。

心エコー検査では、左心室の駆出率が約40%で、右心室のサイズと圧力が正常であることが証明されました。

炎症マーカーが増加していました。

LMWH療法の開始から48時間後に測定されたD-ダイマーレベルは正常でした。

ループス抗凝固因子は検出されず、患者はアピキサバン投薬に切り替えられました。

投薬期間は3か月であり、患者は退院の1か月後に心臓専門医に相談するようにアドバイスされました。


まとめ

適切に行われた処置でも退院後に、肺塞栓症になった2例でした。

退院から2週間ほどで、退院前に改善されていた臨床症状が再発し、画像検査でも異常が見られなかったものが変容していたというものです。


感染者数を減らすため、緊急事態宣言を解除するために臨床ベット数の空きなど、「数」に対する固執が過ぎるようにも思えてならない昨今です。

実際に退院してからこのように急変する例もあるため、退院してから油断ならないことを知ると、現状やっている活動が如何に大切なのかもわかってきます。

このような症例はどんどん増えていくでしょうから、見つけ次第記事にしたいと思います。


Mohamad Kanso, Thomas Cardi, Halim Marzak, Alexandre Schatz, Loïc Faucher, Lélia Grunebaum, Olivier Morel, Laurence Jesel, Delayed pulmonary embolism after COVID-19 pneumonia: a case report, European Heart Journal - Case Reports, Volume 4, Issue 6, December 2020, Pages 1–4,

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