今回はマッサージ療法とアスリートに関して
マッサージ療法と呼ばれるものがありますが、日本国内だと按摩指圧マッサージのことを指しています。
しかし、昨今ではマッサージ療法を行う人が増えてきている現状もあり、本来は「業務独占」という法的な権利で、業務としてマッサージを施す人は按摩指圧マッサージ師のみと決まっています。
その辺りがなぁなぁになっている業界でもあるため、何等かの国家資格を持っている人がやるマッサージだけではなく、無資格者が施すものまで広くあったりすることが現状です。
そんな事情もあるマッサージ療法ですが、体の状態によりマッサージの種類を使い分け対応していくそうです。(筆者は柔道整復師なので専門外)
そんなマッサージの使い分けをアスリートに行った場合、どの方法がどう有利なのか?ということを調査している研究がありましたので紹介します。
研究の内容
伝統的とされるマッサージ方法と対照群とで比較した調査です。
・スポーツクラブにて募集されたアスリート20名を対象にした。
・伝統的なマッサージ技術が含まれている群:5分間の浮揚、10分間のペトリセージ、および5分間のタポテメント(合計20分)。技術に加えられる圧力は、最高レベルの圧力(強い圧力と深い圧力)を使用して、ワトソン圧力スケールによって決定されている。この手順を各脚に対して繰り返した。
・対照群:他のグループと同時に(20分)コントロール介入を受け、軽いローション圧力に対応する機械的圧力をかけることなく、参加者との軽い接触のみを維持しました。
測定には身体検査と心理的測定と2つの面で行い、介入後に測定されたもの。
結果として、身体的機能面では伝統的なマッサージを施した群の方が良い結果が出たことを示唆するデータがあり、両群とも心理的面では気分状態の大幅な改善がみられています。
著者の結論
私たちの結果は、古典的なマッサージがアスリートの機能的な身体的変数を改善するための効果的な介入である可能性があることを示唆しています。しかし、傾向は、軽いタッチ介入が生理学的測定の改善を引き起こす可能性があることを示唆しています。
まとめ
特段に変わった結論などはありませんでしたが、一般的に行われるマッサージ法の有利となるかもしれない結果となっています。
この結果には、実際に行う場合に気を付けなければならない面が幾つかあります。
1つ目として、マッサージに対する強さに関してですが、生理学的に望ましくない強さであっても患者の好みによっては強い刺激を求めたりする心理面から、マッサージの効果に対する反応に心理面の影響が強いことを認識する。
2つ目に、上述の結果にはそこまで詳しく記載はしていないが、比較されている身体検査は背臥位で行われる筋力測定で、下肢の筋肉のみを測定しているため、この結果は鵜呑みに出来ないことが多すぎるという点。
最後に、マッサージを提供する側の人間の心がけとして、別の研究で患者が離脱する理由として、「気に食わない点がある」といった結果があったりします。
この調査によれば、離脱した患者の多くは、望まないマッサージを施された場合、別の人にお願いすればいいや、と考えていることがわかりました。
マッサージを施す側として、そういったフィードバックがなければ技術などの向上は望めないですし、そういった側面を知ることも大事です。
以上がマッサージの方法でアスリートがどのような反応をするのか?という研究でしたが、マッサージをやる側の人が何かしらの参考になれば幸いです。
冒頭にも書いた業務範囲に関することですが、個人的には好ましくない事象であり、どうにかならないものか、と思っていたりもします。
Espí-López GV, Serra-Añó P, Cuenca-Martínez F, Suso-Martí L, Inglés M. Comparison Between Classic and Light Touch Massage on Psychological and Physical Functional Variables in Athletes: a Randomized Pilot Trial. Int J Ther Massage Bodywork. 2020;13(3):30-37. Published 2020 Aug 27.