今回はCOVID-19の治療薬について
研究の内容
COVID-19に感染した人に、クロロキンとヒドロキシクロロキンを投与することを検討した研究を検索し、レビューしたものとなります。
14件の関連研究が見つかり、12件の研究から8,569人の成人を対象とし、COVID-19の治療にクロロキン、またはヒドロキシクロロキンを使用されたもの。
2件の研究から、感染したが無症候だった3,346人の成人を対象に、COVID-19を阻止するためにヒドロキシクロロキンを投与されたものをレビューしておりました。
調査は、中国、ブラジル、エジプト、イラン、台湾、北米、およびヨーロッパで行われ、1つの研究は世界中で行われました。
一部の研究は、ヒドロキシクロロキンを製造する製薬会社によって部分的に資金提供されました。
ヒドロキシクロロキンと通常のケア、またはプラセボと比較した場合、9件の研究結果では死亡した人数への影響はないというものでした。
そして、人工呼吸器を必要とする人数への影響もなく、罹患してから14日後に行われたウイルス検査を受けた人にも影響しない可能性があります。
さらに、ヒドロキシクロロキンが28日後に症状が改善した、という人数に影響を与えたかどうかは不明となります。
他の抗ウイルス治療(ロピナビルとリトナビル)と比較して、クロロキンは症状が改善するために必要な時間を短縮できる、ということはないとのことでした。
444人を対象とした1件の研究での通常のケアと比較して、アジスロマイシン(抗生物質)と組み合わせたヒドロキシクロロキンを投与したものでは、死亡率、人工呼吸器を必要とする人、入院日数などに違いがでなかったという結果があります。
フェブキソスタット(痛風を治療する薬)と比較して、ヒドロキシクロロキンを投与した場合は、入院数や、肺の検査で見られた変化に違いはありませんでした。
死亡数に関しての報告されていません
COVID-19の予防という点では、ヒドロキシクロロキンとプラセボを比較した結果、発症した人数、入院数ということでどう影響したのかは不明とのことです。
通常行われるケアと比較して場合でも発症するリスクに違いはありませんでした。
望ましくない影響としては、ヒドロキシクロロキンと通常のケア、またはプラセボと比較した場合、軽度の影響が起きるという結果があります。
レビューアの結論
COVID-19に感染した人々のHCQは、死亡のリスクにほとんどまたはまったく影響を与えず、おそらく人工呼吸器への進行にも影響を与えません。有害事象はプラセボと比較して3倍になっていますが、重篤な有害事象はほとんど見つかりませんでした。治療のためのヒドロキシクロロキンまたはクロロキンのさらなる試験は実施されるべきではありません。
これらの結果は、これが完全に排除されているわけではありませんが、薬が感染から人々を保護するのに効果的である可能性を低くします。感染の予防を検討する試験を完了し、明確な結果を提供するためにこれらが高水準で実施されることを確認することはおそらく賢明です。
まとめ
Singh B, Ryan H, Kredo T, Chaplin M, Fletcher T. Chloroquine or hydroxychloroquine for prevention and treatment of COVID‐19. Cochrane Database of Systematic Reviews 2021, Issue 2. Art. No.: CD013587. DOI: 10.1002/14651858.CD013587.pub2. Accessed 17 February 2021.