今回はコミュニティの心理学について
皆さんは何かしらのコミュニティに所属していますか?
学校、職場、近所付き合い、運動クラブ、趣味の集まりなどコミュニティの種類は色々な種類がありますが、1つの国に住んでいる時点でコミュニティに所属している、といえばそうなります。
コミュニティの結束が強いと、信念が強く、個人の存在意義などを感じながら、個々の人の満足度が高くなるのかもしれません。
一方では、結束力が強すぎるが故に、多様性を受け入れることが出来ず、他者を排除したりするような差別行動もよく見られます。
今回は、そんなコミュニティの働き方について解説しますので、何故そうなるの?ということのヒントになればと思います。
概念について
コミュニティは住む場所や、共有項への関心、価値観、職業、宗教、民族、性的志向、趣味など、多種にわたる共通点により築かれるものである。
これらは、個人にとってはアイデンティティの形成に役に立ち、世の中に貢献する一部となれる場にもなります。
そういった事柄から、心理的コミュニティ感覚を得ることが出来ます。
心理的コミュニティ感覚とは、自分と他人が似ているという感覚のことを言い、他人との相互依存の認知、所属意識、安定した構造の1部であるという感覚のことを指します。
人の役に立ちたい、という願望で職業選択をしたり、大企業に就職して安定したい、国家に尽くすために公務員になりたい、ということを想像すると良いでしょう。
心理的コミュニティ感覚
コミュニティ心理学者のマクミラン氏とチャビス氏によると、心理的コミュニティ感覚の要素として以下のことが挙げられます。
・メンバーシップ
・影響力
・統合とニーズの充足
・情緒的結合の共有
メンバーシップは、安心感や所属意識、メンバーらによる献身を意味します。
影響力は、コミュニティと所属するメンバー同士が互いに影響を与え合うことを指しています。
統合とニーズの充足は、コミュニティの一員であることで、メンバーが報酬を得るという感覚のこと。
情緒的結合の共有とは、共有されているコミュニティの歴史などを含んでいるため、コミュニティ感覚とは?と尋ねられるとこれを意味しています。
これらの要素を日常生活上で置き換えてみましょう。
例えば、学校のクラスなどを想像していただくと、メンバーシップはクラスメイト同士で協力し合うこと、クラスメイトの互いの凄いところに影響される。
そして、クラスの一員として、学校に通うことの安心感を得て、クラス対抗○○などで成績を収める。
といったことを考えていただくと、コミュニティは無意識的にも働いており、日頃から私たちの役に立っているということになります。
多様性が大事
近年、多様性を求められる場面は増えてきており、それらに対応できないが故に問題が起きたりもしています。
多様性とは、人種、性、信仰、性的志向、社会経済的背景、文化、年齢などが含まれており、いずれも健全で進歩的なコミュニティに不可欠といえる要素であります。
多様性を受け入れると言葉に出すことは大変簡単なことでありますが、多様性を受け入れるためには「自らの前提を疑い」「既存とは違う方法を検討する」ということが勤勉な努力と創造性が促されます。
多様性をもつことは、さまざまな視点をもたらしてくれることから、創意工夫につながる多彩なアイデアを生み出すきっかけとなります。
つまりは、わが国は○○である、と言い散らしている時点で、多様性を受け入れる準備はなく、多様性を認めない風潮が根付いてしまっていることが考えられます。
まとめ
これらがコミュニティの働きについてとなります。
多様性を受け入れないということは、これまでのコミュニティの働きを崩さないための防御手段と考えると、受け入れないこと自体が問題とも言えなかったりするわけです。
一方では自由を主張しても、一方では制限するようなルール作りをしてしまっている事柄も目にすることはありますが、それらもコミュニティの働きといえるものです。
結局は作る側に都合のいいものに規範が作られていることもありますが、よく見てみるとコミュニティの要素のいずれかが不足していることがあったりもします。
これらを検討する際は、私にとって○○という考えよりも、コミュニティの働きを意識した議論をしたいもの。