今回は読書の記憶と理解について
皆さんは読書をしますか?
このブログを読んでくださっている方は、日常的な読書をしているかもしれませんが、読書を始めたい、続けたいという人の中には何の本を読めばいいのかわからない、という方もおられるかもしれません。
私も読書をしますが、意味がわからない、共感できない内容の本は読もうとも思いませんので、ご自身の理解度よりも本のジャンルなどが合わないことがあり、読書をしたいと思わないこともあるかと思われます。
読書をするにはどのようなジャンルが良いのか?
そういったことに関連している研究がありましたので、紹介したいと思います。
研究の内容
689の論文から要約と関連性について調査され、93の論文から詳細なものを調査したというレビューになります。
計33,078人を対象に、78の異なるサンプルから個別の効果量をまとめたものとなります。
簡潔に解説致しますと、人は文章の種類によって記憶と理解度が変化するのか?ということについてになります。
文章は物語形式が良いのか?それとも解説(専門書など)形式が良いのか?というものです。
結論から、物語形式の文章の方が記憶と理解度について有意な結果が出ています。
何故物語が良いのか?
物語は、人間の記憶と歴史から馴染みの深いものであることが考えられています。
もともとは、口頭でのストーリーテリングがコミュニケーションの手段の1つであり、先祖古来より生存に必要な情報、祖先に関する情報などの情報伝達手段として用いられてきました。
このことより、物語を読むということは、人間の感情や歴史、記憶に馴染み深いことがわかることから、物語形式のテキストを読む方が記憶力や理解度に有意性をもたらしたということになります。
思い返していただくと、幼少期の読み物には物語に沿った文章が多く、大きくなるにつれて解説形式な文章が多くなってきます。
そういった触れ合うタイミングの相違から、解説形式な文章に馴染みが持ちにくいことも考察されています。
後、物語の方が記憶に残りやすい理由とて、感情的な能力との関係があります。
「フラッシュバルブ記憶」とも呼ばれており、その記憶は注意や知覚といった感情が記憶を促すということが重要な役割ともされています。
こういった感情的な側面が、記憶を想起するといったことから、解説形式な文章よりも物語の方が記憶しやすいということが考察されています。
まとめ
本に馴染みが薄い人や、読書が嫌いな人は物語のように話を進める書籍が記憶などに残りやすいということがわかりました。
読んできた本のジャンルや量、時間などによっては、解説、専門書のような書籍の方が記憶に残りやすいと思う方もおられるかもしれません。
そういった点は人によるのかもしれませんが、初心者向けな内容の書籍に、漫画形式なものが採用され、ある程度の人気があるのも納得は出来ます。
Mar, R.A., Li, J., Nguyen, A.T.P. et al. Memory and comprehension of narrative versus expository texts: A meta-analysis. Psychon Bull Rev (2021). https://doi.org/10.3758/s13423-020-01853-1