今回は断食と心血管疾患の予防について
断食について、プチやら何やらと色々ありますが、ダイエットや毒素を排出などと謳っている方法が推奨されていることが多いです。
単に、摂取するカロリーを制限する機会がありますので、ダイエットに役に立ちそうなことは想像つきますが、他の点ではどうなのか?とも思われます。
心血管疾患を防げるのか?という点で、ランダム比較化試験が採用されている試験も含めたレビューがありましたので、紹介します。
研究の内容
18つの研究から、1125人の参加者が含まれているものをレビューしています。
これらの研究では、4週間~6か月の範囲で行われた介入の結果が報告されています。
フォローアップ中のどの時点でも、すべての原因による死亡率、心血管系の死亡率、脳卒中、心筋梗塞、心不全に関するデータを含む研究はありません。
定量的に分析されたデータのうち、7件の研究が断続的な断食と自由摂食と比較し、8件の研究が断続的な断食と連続的な断食を比較し、3件の研究が断続的な断食と自由摂食と連続的な断食の両方と比較しました。
アウトカムは3ヶ月、 3~12ヶ月のフォローアップで報告されました。
短期間の自由摂食と比較して、断続的な断食により体重が減少しています。
短期的な連続的断食と比較した場合、断続的な断食との効果比較は不明な点があります。
短期間の自由摂食と比較した場合、グルコースに対する断続的な断食の影響については不明であります。
体重とブドウ糖の変化は、臨床的に重要であるとは見なされませんでした。
4つの研究が副作用に関するデータを報告し、一部の参加者は軽度の頭痛を訴えました。
レビューアの結論
断続的断食は、体重を減らすという点で、自由摂食よりも優れていることが見られました。しかし、これは臨床的に重要ではありませんでした。CVDのリスクを減らすために心血管代謝の危険因子を改善することにおいて、IFとCERの間に有意な臨床的差異はありませんでした。特定の患者グループ(糖尿病や摂食障害の患者など)におけるIFの安全性とリスクベネフィット分析、およびすべての原因による死亡や心筋梗塞などの長期転帰への影響を理解するには、さらなる研究が必要です。
まとめ
断続的な断食による効果として、多少な体重減少と多少の血糖値改善という点があったようですが、前述のように臨床的な意味を持つという点ではなかったようです。
断続的な断食でも、連続的な断食でもその効果測定に有意な差はないため、どちらでも良いそうですし、断続的な断食における重篤な副作用の報告もありません。
上述の研究の中で、幸福度に関して評価してものがありましたが、わずかに幸福度が増すといった結果も含まれていました。
このレビューからは、心血管疾患を予防するという目的に、断続的な断食の効果があるのかは不明なので、それらを語って断食を促すのは如何なものかと思いますが、ダイエットに関して大きな効果をもたらす期待は薄いですが、言ってもいいのかもしれません。
しかし、断続的な断食は、カロリーを制限しているのと変わらないので、それと断食を比較した研究もみたいところ。
手軽にできる、という点ではやれないこともありませんが、食べ過ぎないを意識した方が良いとも思えます。
Allaf M, Elghazaly H, Mohamed OG, Fareen MF, Zaman S, Salmasi A-M, Tsilidis K, Dehghan A. Intermittent fasting for the prevention of cardiovascular disease. Cochrane Database of Systematic Reviews 2021, Issue 1. Art. No.: CD013496. DOI: 10.1002/14651858.CD013496.pub2. Accessed 01 February 2021.