KeiS a medical professional

This is a blog about the scientific basis of medicine. A judo therapist reads research papers for study and writes about them.

sponsorlink

知っておこう嗅覚障害について

Wednesday, January 13, 2021

耳鼻咽喉



 今回は嗅覚障害について


この時期に嗅覚障害と書くと、COVID-19に関連するもの?と捉えられるかもしれませんが、今回は既知の嗅覚障害について紹介します。


嗅覚障害とは?

ヒトの化学感覚の1つである、臭いを感じる感覚に何らかの異常が起きている状態のこと。


そして、臭いの感覚が低下する「量的嗅覚障害」と、感じる臭いが変質する「質的嗅覚障害」に分類されます。

一般的な嗅覚障害は「量的嗅覚障害」によるものと考えられています。

しかし、「質的嗅覚障害」という状態では、本来感じるはずの臭いが変わったり、特定の臭いが感じ取れなかったり、一部の臭いに過敏になったりします。

基礎疾患があり、他人が感じないのに臭いを感じ続けたり、臭いがないのに口臭が気になったりするなどのものも含まれます。

また、精神的な影響などで自己臭、統合失調症の1症として幻臭などがある。


嗅覚障害といってもこれらの原因によって、起こり方や障害の出方が異なる。



病態分類


嗅覚路のどこに障害が起きているかによって、分類されるものを紹介します。


・気導性嗅覚障害

鼻呼吸時に外鼻孔から吸入された空気が、嗅細胞の存在する嗅裂部に到達しない状態のこと。

この分類には、慢性副鼻腔炎、ポリープ、アレルギー性鼻炎などが含まれる。

また、稀な例として、腫瘍や骨折などによって鼻腔内変形によって障害が起きることもある。


・嗅神経性嗅覚障害

臭いを受容し伝達する嗅神経に障害が起きた際に障害されるもののこと。

感冒後の嗅覚障害のようなウイルス感染による嗅神経細胞の傷害や頭部外傷、薬物性障害、開頭手術時の大脳牽引時に起きることもある。


・中枢性嗅覚障害

臭いを感知した後に、脳へ伝達する嗅覚路に障害が起きているときのこと。

原因として多く報告されているものは、頭部外傷による脳挫傷。

他には脳腫瘍、脳出血、脳梗塞もある。

アルツハイマー病やパーキンソン病による症状の1つとして、嗅覚障害が挙げられていますが、それはこの分類に当てはまります。



診断例

嗅覚障害の診断には問診や各種検査にて判断されますが、この情報を挙げても患者となる際に有益とは思えない情報かと思いますので割愛します。

割愛しますと書いていますが、一部それらの察知に役立ちそうなアンケートがありましたので紹介します。



※このアンケートはスコアが求められ、障害の除外まで出来るものになります。

自己判断による診断を避けるため、詳細なスコアの計算法は載せません。



では、アンケートを開始します。


Q,以下の臭いがわかるかどうかを答えてください。


「わかる」なら2点、「時々わかる」なら1点、「わからない」なら0点、「最近嗅いでいない」「嗅いだことがない」なら▲で。


・炊けたご飯
・味噌
・海苔
・醤油
・パン屋
・バター
・カレー
・炒めたニンニク
・みかん
・いちご
・緑茶
・コーヒー
・チョコレート
・家庭ガス
・生ごみ
・材木
・汗
・糞便
・花
・香水


以上です。

20項目あるなかで、0点に近い人は専門医に相談した方が良いのかもしれません。

▲が11項目ある人はこのアンケート自体が無効となるので、忘れてください。



まとめ

嗅覚障害について述べてみましたが、基本的な異常から起きるものであるのが再度わかっていただけたかと思われます。

嗅覚障害だけを治療するというよりは、基礎疾患の治療のうちに嗅覚に対しても有効な治療となるものもあります。

それぞれの疾患に対する治療法のエビデンスなどは、このブログにも一部は載っていたりしますが、現在治療されている環境でエビデンスレベルの高い方法がとられることが多いかと思われます。

そして、COVID-19による嗅覚異常が上述のどれに当てはまるのか?ということについては不明なのですが、ウイルス感染によるものが原因による障害と同じ分類と考えてもよいのかと。

QooQ