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This is a blog about the scientific basis of medicine. A judo therapist reads research papers for study and writes about them.

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鍼治療で運動パフォーマンスが上がった?って研究

Thursday, January 28, 2021

鍼灸治療


 今回は鍼治療と筋パフォーマンスについて

スポーツ現場で治療、という経験がある人は見を持って経験したことのある「鍼治療」の需要。

効くかどうかもわからないけどやる、ということを散々言われてきた私としては、選手たちの治療に対するモチベーションなどに疑問はありました。

良い、わからない、悪いなどは人によりますが、鍼治療ってエビデンスどうなの?と気になる方にはややツッコみどころのある論文が掲載されていましたので紹介します。

研究の内容

鍼治療による筋パフォーマンスの即時効果に対する目的とした研究です。

ランダム比較化、クロスオーバー、ダブルブラインドなどを採用した実験方式で、計33名のホビーアスリートを対象にしていました。

介入は3様式あり、鍼群、Sham鍼群、偽レーザー鍼群とそれぞれ15分間の介入となっています。

評価項目として、ドロップジャンプの高さ、大腿四頭筋の等尺性最大筋力、等尺性筋持久力に関する評価となっています。

結果とコメント

・等尺性最大筋力に関しては、ベースラインと比較しても有意差は得られた(P=0.04)
尚、鍼群と偽レーザー鍼群との有意が最大であり、鍼群とSham鍼群の差はなかったとのこと。

他の評価項目では、有意差は見られなかったとのこと。


コメントですが、

鍼施術の筋パフォーマンスへの即時的効果をシャム鍼とプラセボレーザー鍼と比較した研究で ある。この研究は、ダブルブラインドによる RCT でデザインされていることは評価でき、研究の意 義は極めて高い。本研究の鍼施術の即時的効果の成果を踏まえ、観察期間や介入期間を延長し、短 期的または長期的な効果について検討することが期待される。


とあります。


考察 

ドロップジャンプとは、ある程度の高さのある台から飛び降りた直後、再度ジャンプをするというもの。

そして等尺性収縮というものは、関節などの動きが無い状態で筋力を発揮する収縮で、アイソメトリックとも呼ばれます。

文章でイメージして欲しいのですが、座った状態で片足を膝を伸ばした状態にします。

その状態で、ふともも全面に力を入れた時のこと。

この方法は、ふとももの後面、ハムストリングス、大腿四頭筋の肉離れが起きた後のリハビリなどで取り入れられるトレーニングです。

この力の入れ方は、膝の安定性向上などで役に立つトレーニングだったりはします。

しかし、実際の動きとなると如何でしょうか?

普段、歩いたりする際の収縮様式としては、「遠心性収縮」という動きを行うのが大腿四頭筋です。

もう一つ収縮様式はありますが、普段は筋自体の長さが長くなり、一定のポイントで収縮が最大になる方法が用いられています。

そう、この結果があったとしてもこれって役に立つのか?

あるとすれば、一定のポージングを要求されるスポーツ競技などで、軸足などの安定性をもたらすために活用するぐらいしか思いつかないです。←案外役に立ちますが。

まとめ

この研究から得られたものとしては、筋力が向上するかもしれない、という可能性においてはリハビリやコンディショニングなどでは役に立つかもしれません。

しかし、そういった観点がなく使用しても「鍼って効くのか~効かないのか~」という話になりそうなので勘違いされないように。

適宜に行われれば利点はあるのかと思われますので、ご検討まで。



P.S
私は鍼灸師ではありません。
柔道整復師という国家資格を持っています。



P.S
実験で鍼治療をおこなった部位ですが、
・足三里
・三陰交
・気海
・神門
です。

すみません、わかりません。


Hübscher M, Vogt L, Ziebart T, Banzer W. Immediate effects of acupuncture on strength performance: a randomized, controlled crossover trial. European journal of applied physiology. 2010;110(2):353-8. MEDLINE ID: 20499248

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