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手の屈筋腱損傷の術後リハビリの手法に関するエビデンスについて

Friday, January 15, 2021

整形外科



 今回は手の腱損傷に対する術後のリハビリについて


手の屈筋腱に対する手術を行った後のリハビリテーションということで、どこの腱を損傷したというよりは、リハビリの内容について注目したい研究を見つけたので紹介します。



研究の内容


断裂した屈筋腱を修復する手術を行った計1108人を対象としたもの。


17件の研究が対象となり、年齢層は7~72歳、ほとんどが男性という構成でした。


10件の研究が8つの異なる運動プログラムを評価し、他の7つの研究では、以下のさまざまなリハビリテーションアプローチを評価しました。


・レーザー治療

・超音波

・外骨格、装具(動きを支援するように設計されたウェアラブルマシンのこと)


対象となった研究からはリハビリテーションの利点とリスクについてのエビデンスはほとんどないということになり、これらの証拠としても確固たるものではありません。



研究者たちは、最も関連性の高い3つの運動の比較について、次のような条件づけを行いました。


・指の運動と固定を比較した研究(84人が対象に)


・定期的な指の運動(手術後の初日から4週間、覚醒時間ごとに20〜30回)を受動的な運動(負傷者の指を定期的に折りたたむ)効果を評価した研究(53人が対象に)


・プレースアンドホールドエクササイズ(負傷していない手を使って負傷した手の指を折りたたんだ後、折りたたんだ指を数秒間所定の位置にて保つ)を追加した場合の効果を評価した研究(190人が対象に)


しかし、これらの調査は規模が小さすぎる、報告された有用な情報が少なすぎるため、どのアプローチが最適かを判断することが出来ません。



レビューアの結論


手の屈筋腱損傷の手術後に使用されるリハビリテーション介入のほとんどについて、RCTからのエビデンスはありません。含まれている17の研究で調べられた14の比較すべての限られた非常に低い確実性の証拠は、これらの比較にデータが利用できたすべての結果の効果の推定値にほとんど信頼がないことを意味します。

このレビューで特定されたエビデンスの不足は、これらの傷害のリハビリテーションに関連する重要な質問を検討する十分に動力を与えられたRCTの緊急の必要性を示しています。これらを特定し、最小限の研究実施と報告基準を確立するコンセンサスアプローチは価値があります。今後の研究のための私たちの提案は、レビューで詳しく説明されています。


まとめ 

リハビリテーションの内容については、どの方法が最も有用で、あまり意味のない方法なのか?ということに関しては不明ということに。

しかし、屈筋腱でなく伸筋腱だったら?損傷度合いの違いは?などの疑問点も数多くあります。

現状は、術後でも動かせる範囲で動かしながらリハビリを早期に開始することが望ましいとされており、早期回復にはやれる方法はやったほうが良いのでは?ということも考えられます。

前述の研究では、ほとんどが受動的運動(リハビリをする側が患者の指を動かしたりする)で行われており、能動的運動(自分で動かす)と比較されていましたが、どちらが有意であるということも不明であると。


リハビリを提供する側には、自身の経験に基づいて提供するため、しばしば患者の状況に合わせきれずにリハビリを実施してしまうことも耳にすることもあります。


まとめとして、やれるリハビリはやってしまっては?ということで。


Peters SE、Jha B、RossM。手の屈筋腱損傷の手術後のリハビリテーション。システマティックレビューのコクランデータベース2021、第1号。アート。番号:CD012479。DOI:10.1002 /14651858.CD012479.pub2。

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