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【COVID-19】スポーツ競技者に与える生理学的影響に関する研究

Thursday, January 14, 2021

感染症


 今回はCOVID-19がスポーツ競技に与える影響について


COVID-19が蔓延するなか、スポーツ競技が続行されることが困難になってきています。

まぁ詳しく知らなくとも、接触感染するCOVID-19がスポーツ競技中に感染源となる可能性は納得できるもの。

しかし、どのような条件下において、どのような時間において、どのような競技で感染が拡がっていくのか?ということがわかっていません。

そういった条件を調査している研究がありましたので、今後スポーツ競技を楽しみながら、感染を拡げないような参考になる情報を紹介します。


研究の内容


サッカー競技を対象としている研究で、結論から90分間の競技中に濃厚接触している時間は約19分間であることがわかりました。

この19分間の間に感染するリスクが高くなると考えられており、競技の特性で異なってくる結論ではありますが、サッカー競技でどれぐらい濃厚接触するのかわかります。


そして多種にわたるスポーツ競技者23名、平均年齢33.8歳を対象に、マスクの有無で心拍数や知覚運動速度を計測する実験も行われました。

この実験は、トレッドミル歩行を行い、時速4kmで6分間行うというものです。


知覚運動速度とは、速度知覚と同様であり、自分の体がどれぐらい速く動いているのかを認識する感覚ということ。


結果として、心拍数はマスク有りで128/分、無しで124/分、知覚運動速度はマスク有りで12.7拍、無しで10.8拍というものがわかりました。

これらから運動を行いながら、感染対策の1つとして実施されているマスクの着用にて、生理学的な負担が増加することがわかりました。


実験にて新たな感染対策など施行はされておらず、競技観客やスタッフの減員、フェイスシールドやプラ板などの定期消毒(漂白剤1:50で希釈、70%エタノールを推奨)を行うぐらいです。

競技中における防止さくとしては、液滴を飛ばさず、それらが他人の粘膜などに触れないためにもマスクが選択され、その生理学的影響を調査した結果となりました。


このことから、運動時にマスクを着用すること自体に問題はないのですが、心肺機能などの負担が増えることから、基礎疾患などを患っている人や体調がすぐれないなどの場合には運動を中止する、或いは運動強度の設定を変更するなどのことが必要となってきます。


スポーツをしても感染するから中止する、というよりは、感染を拡げないためにも一部変更しながらスポーツ競技を継続するという選択もあるということです。



筆者の結論


COVID-19パンデミックがスポーツや運動に及ぼす最終的な影響は現時点では特定できませんが、収集した情報は、アスリートや運営委員会が安全に前進するための貴重なガイダンスとなる可能性があります。COVID-19は、その生存能力、長い潜伏期間、および軽度の症状により、スポーツ環境での感染性が高いです。特にコンタクトスポーツで。本質的な予防策には、人と人との接触を最小限に抑え、適切な個人衛生を実践することが含まれます。コンタクトスポーツ中は他者との密接な接触が避けられないため、不必要な感染を最小限に抑えるために、アスリート自身の危険な行動は避ける必要があります。スポーツイベントを再開するという決定は、地域の症例数と相関している必要があり、再開の初期段階で厳格な感染対策を実施する必要があります。フェイスマスクを使った運動は間違いなく人体に負担をかけます。マスクをしたときは運動強度を調整することをお勧めします。スポーツと運動は、特に競技アスリートにとって重要かもしれませんが、それでも安全性は最優先事項です。誰もが適切な手段で安全なスポーツを実践し、COVID-19パンデミックのさらなる伝播を防ぐ必要があります。



まとめ 


今回はコンタクト競技という内容でしたが、他競技であれば観客やスタッフなどの対策を行いながらスポーツ競技を行える可能性はあるということです。

変わらないといけないことだらけで、変化を嫌う人からすれば感染拡大中は中止するという一本やりな選択をとることもあるのかもしれません。

それは様々な人がCOVID-19の影響を受け、神経質になっているなか、競技を実施して非難されることを嫌うからなのではないでしょうか。

感染対策につかれてきて、消毒や液滴を飛ばしたりする意識が薄くなってきているかもしれませんが、スポーツ競技を楽しみ続けるのであれば必要なことです。


今回紹介した内容は、対象人数が少ないものでもあるので、心拍数の上昇値などは参考にしかなりません。

しかし、目安とはなりませんが、判断するのに参考になる数値があれば、少しは考えることもできます。

何かの役に立てればよいですが。



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