今回は腰痛ガイドライン最新版の紹介について
腰痛といえば世界各国で取り上げられる疾患の1つ。
様々な治療法が横行していますが、2020年に発刊されているガイドライン上ではどのように評価されているのか?ということを紹介していきます。
病態
・腰痛は腰部から脳まで様々な疾患に由来されている。
脊椎、神経、内臓、血管由来、その他とあり、2つに区分される。
1つは由来となる疾患の診断方法、治療法が確立されているもの。
1つは由来となる疾患が不明であり、診断方法や治療法が不十分なものしかない。
後者は以前から言われている「非特異的腰痛」というものです。
さらに、近年では75%ほどが前者の腰痛と判別され、
椎間関節性、筋肉や筋膜、椎間板性、狭窄性、椎間板ヘルニア、仙腸関節性と判断されている。
以前は80%ほどは非特異的腰痛と言われてはいたが、上述以外の25%ほどがそれに分類され、診断不能とされる腰痛が多いというのは俗説でありつつある。
病態経過など
急性腰痛の自然経過はおおむね良好とされ、慢性腰痛や社会心因性は以前経過は不良と考えられている。
そして、BMI(18.5~25.0)が少なすぎたり、増えすぎたりすると腰痛を発症するリスクは増加する。
喫煙と飲酒、運動をしない生活習慣は腰痛を発症しやすいと考えられている。
職業で腰痛症の発症リスクが・・・と考えられていたがエビデンスレベルは中等度なものになっており、肉体的負担もそうだが精神的な負担が腰痛発症のリスクでもあることが示されている。
ここまでで
今まで巷で言われてきたことが、おや?っとなるようなエビデンスが出ていることになる。
例えば、就業中の姿勢不良で腰痛症が発症しやすい!→そうとも言い切れないということ。
単なる姿勢不良ということであれば、上述の診断可能なものに当てはめることも可能であり、予後の経過も良好であると言える。
しかし、慢性的な腰痛ということであれば、その診断結果が的外れであり、生活習慣(体重や食、睡眠などなど)の変化がなければ予後が芳しくないことも安易に想像つく。
民間療法お疲れ様でした!と言えなくもない結果にも。
ガイドラインを参照にした腰痛の見極め
まず、注意深く問診と身体検査をし、診断の危険信号の有無を確認する。
※危険信号(red flag)
・発症年齢
・時間制、活動性のない疼痛
・胸部痛
・癌、ステロイド治療、HIV感染の既往
・栄養不良
・体重減少
・広範囲に及ぶ神経症状
・構築性脊柱変性
・発熱
これらの危険信号は腫瘍、感染、骨折を疑うものである。
危険信号がありの場合は、専門機関にて各種検査を行い治療にあたる。
しかし、原疾患が特定できない場合もあり後述する治療へと転換する。
危険信号がない場合は、神経症状の有無が次に考えなければならない。
そして神経症状がない場合は4~6週の保存療法となるが、改善する・しないと経過を観察する。
神経症状がある場合は、各種検査を実施し診断を再評価する必要がある。
まとめ
今回はここまで。
続きは後日の記事にて、となります。
ここまでの内容を読んで感じたのは、以前のガイドラインでは、非特異的腰痛が多いと考えられていたため、治療プランに関してはフワッとした内容が目立っていました。
しかし、今回参考にしたガイドラインではそれぞれに対応した治療法のエビデンスがしっかりと記述されていたため、腰痛に困る人には棚ぼたな内容を紹介できます。