今回は最新ガイドラインから分かる腰痛治療・物理療法編
物理療法というものは、温めたり揉んだり引っ張ったりなどの物理的な手段を用いる方法のこと。
一般的であると言えばそうですが、身近にある方法が科学的に効果があると言い切れるのか?ということがガイドライン上から読み解けますので紹介します。
牽引療法
ここでいう牽引療法はベットに仰向けで寝かせ牽引する療法です。
目的としては、これらを牽引することによって圧迫された坐骨神経を緩めるなどが期待されています。
結論から述べますと、牽引療法は民間療法やプラセボと比較しても、効果のほどを根拠あるものとよべるほど研究結果が伴っていません。
一応研究はされている、ということになりますが主だった成果としては「職場復帰までの期間」が回復率を向上させていた、という結果はあるようです。
しかし、無治療などの比較では有意たる結論は得られていないことが現状であるため、
効果としての根拠性は薄いものと言えます。
因みにガイドライン作成委員会によると、この治療法は弱く推奨される程度です。
超音波療法
1秒に○○回の振動を発する機材で治療する方法です。
振動を与えることで患部の血流促進などを目的とし、一般的ともいえる治療法になってきました。
この治療方法での研究も数件ありますが、結果が良し悪しと両極端です。
というのも、ある研究では効果が有意に得られたものとそうでないものということ。
因みにガイドライン作成委員会によると、この治療法は弱く推奨される程度です。
経皮的電気刺激療法(TENS)
名前だけ聞くと聞き覚えがないようにも思えますが、連続的な電気刺激により神経を刺激する電気を発する治療器のことです。
こう聞くといつもやっているあれか?と思う人もいるのではないでしょうか?
この治療法に関してもエビデンスレベルは不十分なものであるために、
根拠たる効果のほどはいえるものはありません。
しかし、上述した牽引療法や超音波療法と違い、短期的な治療期間を比較したものでも効果がない、などの報告もあるため、積極的に推奨されるものでもないとは考えられます。
因みにガイドライン作成委員会によると、この治療法は弱く推奨されるものです。
※委員会のコメントでは、腰痛に限らず効果あるし、健康保険の点数にも加算できるからやってもいいのは?という意見も。
温熱療法
字の如く患部を温める治療方法です。
高品質と言えるエビデンスがないので、言い切りは出来ませんが急性腰痛に対しては有用な報告もあります。
ガイドライン上では、温めるものを患部に当て、ラップで被覆する方法が選ばれております。
委員会も一致した意見で、この治療法を弱く推奨するそうです。
腰痛サポーター、コルセットの使用
腰に着けるアレです。
着けるだけで安心感などの心理的な影響はあるのかもしれませんが、疼痛や身体機能などでの有効な効果はエビデンス上ではありません。
また、復職などのサポートにも効果があるような報告はないので、サポーター自体の害がないことから使用しても問題はないけど腰痛治療という点では疑問も残る方法かと。
インソール
インソールは靴の中に入っているものですが、カスタムインソールのような足の型に合わせて作成するものをここで言います。
そもそも研究が少なすぎて、エビデンスとしては何も言えないようですが、下肢痛の軽減が為された報告があったようです。
委員会も、研究が少なすぎるので推奨するかどうかの話ではないことが記述されています。
まぁ特に害は無いようですので、使用することに後ろ向きにならなくともよいのかと。
まとめ
物理療法の利点としてはその使いやすさだと考えられます。
しかし、昨今の治療院や健康グッズを取り扱う場所では、これらのものを高額な価格設定で提供する場面も目にします。
腰痛改善、という点ではその原因に心理的なものがあり、効果の裏付けがないものを利用したとしても、やっている感が効果があると感じられるのであれば否定する気はありません。
上述の方法自体は、やり過ぎたり間違えた使用方法などを行わない限りは、重篤な害があるわけではありません。
どうしても腰痛を改善したい!という方は後日記事にする運動療法などをおススメしたいところです。