今回は整形外科学で説明する保存療法について
以前も保存療法については書いていますが、もっと詳細な内容を紹介したいと思い書いています。
何からが治療法として考えられているのか?という認識が出来ることで自身の治療に活かせる部分もあれば、提供する側もコチコチになっている考えが柔らかくなるかもしれません。
安静
読んでそのまま安静にすることですが、最も根源的で重要な治療法として考えられています。
自然治癒力を最大限に発揮するためにはこれが欠かせないため、必要不可欠ともいえる方法かと。
安静の方法には色々ありまして、
・入院
・自宅臥床
・休業
・休学
・運動の禁止
・四肢の固定
とあります。
薬物療法
経口薬
・消炎鎮痛剤
→絶対的な尺度はないものの、痛みという根源的な人体の防衛反応を抑えるもの。
痛みや症状に併せて多種にわたるが、根本は苦痛を軽減するためのもの。
・抗菌薬
→起炎菌を証明した後に投与される薬物。
人体外から起こる感染に対して投与されるため、単なる治療薬としてだけではなく手術時の対策などでも重要であるもの。
・骨粗鬆症・骨代謝改善薬
→高齢化社会となっている今日では、この薬の使用が一般的にもなってきています。
それぞれの薬で研究が進み、最近では細胞分化を刺激するような薬物も使用されています。
・抗悪性腫瘍薬
→化学療法で使用されるもので、シスプラチンなど耳にしてこともあるのかと。
癌治療に使用されるもので、癌の増殖や転位に必要な分子を特異的に抑える分子標的治療薬もある。
注射・注入薬
・鎮痛薬
→鎮痛を目的とし局所麻酔薬を対象に注入する。
即効性が利点とされているが、本薬に依存するケースもあるため、使用の際は乱用を避けるように考えられている。
・関節軟骨の保護・促進剤
→ヒアルロン酸が代表とされており、分子量90万と190万の2種が使い分けられている。
また、最近では欧米で使用されていた分子量600万のヒアルロン酸も承認されている。
・非感染性の炎症に対する薬剤
→名前の通りで副腎皮質ステロイドを用いられている。
関節などに注入することがほとんどなので、注入の際の合併症に十分な配慮がされているが、実際にそういった症例も耳にすることはある。
外皮薬
経皮的に塗って使用される薬剤。運動器疾患で使用されることがほとんでです。
副作用が少ないので、比較的使用されやすいが薬剤によっては過剰使用による依存や中毒も報告されているため、使用の際の用量などには注意が必要。
徒手整復と徒手整形
徒手矯正
無理のない範囲での関節可動域の増加と変形を矯正する手技のこと。
例として挙げられるのは、骨折時のギプス固定が固まった関節、凍結肩の拘縮を取り除くために使用される手技のこと。
決して○○矯正ではない。
徒手整復
骨折や脱臼などを解剖学的な位置に戻す際に行われる非観血的な手技。
整復の際にに軟部組織や骨片の介在が考えられる際は、観血的な整復を行うべきである。
牽引法
徒手牽引
骨折や脱臼の整復の際に行われるもので、基本的には無麻酔下で行われる。
除痛や筋弛緩が必要な際は麻酔が使用される。
介達牽引
皮膚と軟部組織を介して牽引する方法をいう。
直達牽引
骨を介して牽引力を作用させる方法。
固定法
・布や包帯による固定法
・ギプス包帯や合成キャストによる固定法
・装具
それぞれの状態に合わせて適宜な固定法を選択する。
理学療法
・物理療法
→温熱や電気、水を使った方法。方法によっては禁忌があるため、確認が必要である。
・運動療法
→関節可動域訓練や筋力増強訓練、筋力の数値的評価、日常生活活動訓練、バランス訓練などがこれに含まれている。
作業療法
進呈機能や精神機能の障害による能力低下に対して、種々の"作業"を通して回復や機能退行の予防、残存機能の向上などを図る。
補足
揉み返しとは?
筋線維をさらに損傷させ、微小出血や浮腫、腫脹と言った傷害を引き起こすこともあり、
一時的にはすっきりしたとしても翌日にはさらに痛みが増大している状況のことを言う。
良く下手な人に触られることを揉み返しと使っている人が多いが、
正しくはマッサージ依存症に陥っている状況のことを指す。
そもそも筋肉自体はポンプの役割もあるため、適切な運動が行われれば発痛物質を促したりが出来るため、痛んでいる筋肉には温熱療法と軽い負荷運動で十分に対処できると考えられている。
まとめ
大部分を省略はしていますが、何かしらの疼痛に悩み対処している人は保存療法を使っていることがほとんどになります。
その中で何を選択するのか?は自身の好みや提供者の指導などもあるのかと思われますが、それぞれのメリットとデメリットを知ることも選択肢を決める1つだと考えます。