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【ガイドライン】腋臭症について

Monday, January 18, 2021

医療基礎知識

今回は腋臭症について

2015年に発刊されているガイドラインよりまとめた内容を紹介します。

特徴など

身体的な特徴として
・耳垢が湿型
・腋毛が多い
・衣類が黄ばみやすい
・腋窩多汗症になっている

また
・耳孔
・乳輪
・陰部
これらの臭いを伴うこともある。
※根拠性低~中程度


臭いの変化について

・20歳代がピーク
・女性の場合月経前から月経時に増強する。
・動物性脂肪の摂取で増強する。
※根拠性低~中程度

問診

診断において、以下のことを聴取する
・発症時期
・耳垢の状態
・家族歴
・腋臭症の手術歴
・家族からの指摘

耳垢については、遺伝型から相関性があると考えられているため、
状態の確認をして症状の特定を行う。

テストに

・ガーゼテスト
・アポクリン腺の分泌負荷試験

が有用とされているが、根拠性は低~中程度である。


ちなみにgrade testというものがあるが、主観性に頼るため有用性が低いが一応紹介します。

1.まったく臭わない
2.腋窩に挟んだガーゼから微かに匂う(5分挟んだ後)
3.よくかけばわかる程度
4.横にいてわかる状態
5.電車などで人を間にしてもわかる

客観性に欠けるものですが、公共の場で臭いが判ってしまうのはstageⅣかⅤということになります。

ちなみに「診断基準はないため」医師の判断による。というものだそうです。


治療

・消毒薬が有効な場合もある。(石鹸やでデオドラント製品に含まれるもの)

・抗生物質は一時的に腋臭を減少させることができるが、免疫など他への影響があるため安易に使用されるものではない。

・ストレスの軽減、食事の改善、適切な入浴と臭いを改善できる可能性はある。
しかし、エビデンスはなし。

・腋毛の処理で臭いが減少する可能性はあるが、毛嚢炎などに注意が必要ではある。

・市販のデオドラント製品は「一時的」な消臭効果がある。

・手術に関しては、十分な問診など打ち合わせをして行う場合がある。
しかし、選択する手術法に関して、明確な診断基準がないため問診次項にそって考えられる。という現状がある。


その他

・医学的脱毛術(レーザーなど)で原因となるアポクリン腺を破壊することはできないため、症状の改善の期待はできません。

・エステなどの脱毛(光、電気分解など)は永久脱毛ではないので、症状の改善はできません。

・ボツリヌストキシンの局所注射があるが、無効であるというデータがある。
しかし、腋窩が乾燥しやすくなるため臭いの軽減が期待できる

・内服薬はありません。

・多汗症などの手術として交感神経節破壊術などは、本症のために行う治療法としては考えられていません。


まとめ

医学的な方法として、根本治療の中で根拠性が最も高い方法はありません。

ガイドライン上では、根拠性に応じてグレードが定められていますが、
推奨ランクAというものが、1つもなかったためこんなことを言っています。

消臭対策としてはデオドラント製品一択になりますが、
根本的にはアポクリン腺を破壊することから始まります。

よって市販薬や市販品などでは過剰な期待をしない方が良いのかと思います。

それにしても、診断基準がない。ということに驚きました。

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