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This is a blog about the scientific basis of medicine. A judo therapist reads research papers for study and writes about them.

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歯科治療中の感染症対策は万全でもない?って研究

Friday, January 29, 2021

感染症



 今回は歯科治療と感染症について

世界的にパンデミックとなっているCOVID-19により、感染症に対して様々な検討がなされるようになったようにも思えます。

わからないことが多いため、わかるように調査や研究が行われていますが、既知の常識の中で、大丈夫と思っていることがそうでもなくなったりもすることがあります。

とある知り合いに歯科治療を行う人がいるのですが、歯科治療は感染症とは無縁だから大丈夫!と言っていましたが、果たしてそうなのか?と疑問に思っていました。

それらの疑問に、一歩踏み込めるような結果のある研究がありましたので紹介します。


研究の内容

殆どの歯科治療を行うにあたって、エアロゾルと呼ばれる空気中に浮かぶ小さな液滴が生成されます。


例として、歯に付着したバクテリア(歯垢)の膜を取り除くために、歯科医はスケーリングマシン(スケーラー)を使用し、スケーラーは高速で振動しながら、水の流れを利用して歯垢を洗い流しています。


これにより、空気、水、患者の唾液でできたエアロゾルが生成されます。


エアロゾルには、細菌、真菌、ウイルスなどの微生物も含まれている可能性があります。


細菌、真菌、ウイルスを含むエアロゾルは、感染症を広める可能性があり、エアロゾルの生成を制限することは、歯科治療における感染症を防ぐのに役立つ可能性があります。


歯科治療中のエアロゾルの生成を減らすために、これらのアプローチが行えます。


・エアロゾルが生成される前に、抗菌マウスウォッシュを使用し、口を除菌する。


・エアロゾルが口から出るのを防ぐ方法(唾液排出器などの使用)


・大量の空気を吸い込む吸引装置を使用した局所換気。


・空間の換気(部屋の窓を開けたままにする。)


・空気中のエアロゾルに対して、紫外線を使用して空気を殺菌する。


こういった方法を単独、或いは組み合わせて使用することが検討できます。


調査研究からの証拠を分析して、歯科治療中のエアロゾル生成を減らすことを目的とした介入が感染症の伝染を防ぐことができるかどうかを調べました。


また、介入の費用、患者と歯科医が介入を受け入れられるかどうか、介入が簡単に実施できるかどうかについても知りたいという内容となります。



合計425人が参加した16件の研究をレビューしています。


研究には、5~69歳の参加者がおり、米国で6件、インドで5件、英国で2件、エジプト、オランダ、アラブ首長国連邦でそれぞれ1件の調査が実施されました。


この調査では、次の介入方法を評価しています。


・排気装置

・ハンズフリー吸引装置

・唾液吸引機

・唾液排出機

・大量の排気装置を備えた吸引機

・室内の空気清浄システム


感染症の感染リスクを評価した研究はありませんでした。

また、コスト、受容性、実装の容易さも評価していません。


16の研究すべてで、エアロゾル中の細菌汚染レベルの変化が測定されましたが、その証拠は非常に低いものであることが評価されました。


この証拠から、細菌汚染のレベルに影響があるかどうかを推測することはできません。


ウイルスまたは真菌の汚染を調査した研究はありません。



レビューアの結論


歯科治療においてエアロゾルを介した病気の伝播を評価した研究は見つかりませんでした。エアロゾル中のウイルス汚染についての証拠はありません。

含まれているすべての研究では、コロニー形成単位を使用して細菌汚染を測定しました。評価された介入からいくらかの利益があるように見えましたが、利用可能な証拠は非常に低い確実性であるため、信頼できる結論を引き出すことができません。

換気、イオン化、オゾン化、紫外線、曇りなどの方法に関する研究は見つかりませんでした。

エアロゾルの汚染、エアロゾルのサイズ分布、および歯科患者とスタッフのCOVID-19などの呼吸器疾患の感染伝播リスクを測定する研究が必要です。



まとめ 

歯科治療において、あらゆるエアロゾル対策を講じていたとして、感染を予防できるかできないかは不明ということに。

現段階ですと、じゃあ対策しないでいいか~とはなりませんし、より対策の強化を行う、もしくは休業するという極論に至るものでもありません。

しかし、絶対に大丈夫ということも言えないので、歯科医の方は治療中の対策と、個人的な感染対策を講じていく必要があるのかと思われます。


やれることはやりましょう、と。


Kumbargere Nagraj S、Eachempati P、Paisi M、Nasser M、Sivaramakrishnan G、Verbeek JH 感染症を予防するための歯科治療中に生成される汚染されたエアロゾルを減らすための介入。システマティックレビューのコクランデータベース2020、第10号。アート。番号:CD013686。DOI:10.1002 /14651858.CD013686.pub2。

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