今回紹介するのは、医療サービスの値上げとそれに対する患者の反応についてです。
紹介する研究は中所得国において医療サービスから、更なる資金調達を行うために医療サービスに追加の料金、あるいは値上げをしてみた結果というもの。
日本でいうところの自由診療の導入や料金の撤廃などをイメージされると良いかと思います。
始めにお伝えしますと、この研究結果は方法論として根拠性が低いです。
研究者からのコメントもバイアスのリスクが高いため、証拠としては?
という前提でご覧ください。
多くの国では、人々は医療サービスのために、例えば医者を訪ねたり、薬やその他の医療品を受け取ったりするときに、料金、つまり使用料を支払わなければならないかもしれません。
1980年代には、ユニセフと世界銀行の支援を受けて、
多くの中低所得国でユーザー手数料が導入されました。
これらの料金の導入にはいくつかの理由があります。
1つの議論は、料金が不必要なヘルスケアを求めることから人々を阻止すると予想されるということです。
そして、医療サービスの質を向上させるために使用することができる余分な資金を調達する方法として見られています。
これらの追加資金は、保健サービスを拡大し、全人口が保健医療にアクセスできるようにするためにも使用できます。
しかし、批評家たちは、利用料の導入は貧しい人々が必要な医療サービスを利用することを妨げると主張してきた。
最近、いくつかのキャンペーンが、特にプライマリケアのために、ユーザー料金の撤廃を提唱しています。
研究は
この研究は12か国で行われました。
彼らは、ユーザー料金の導入による影響を評価しています。
料金を削除する、または料金の増減。
研究は医療サービスの種類と支払いのレベルと性質によって異なりました。
いくつかの研究は大規模な国家改革の影響を調べたが、他の研究は小規模のパイロットプロジェクトを調べた。
結果
〇ユーザー手数料が導入または引き上げられた場合
・人々の予防医療サービスの利用が減少した。
・人々の治療サービスの利用は減少した。
しかし、料金が導入されたと同時に医療サービスに質の改善がなされたとき、
人々の治療サービスの利用は増加しました。
さらに、人口の貧困層がより多くの医療サービスを利用するようになりました。
〇ユーザー手数料が削除された場合
・通常、人々が予防医療サービスを利用したことに直接的な影響はありませんでした。
しかし、いくつかのケースでは、人々がこれらのサービスを使用するのが、
しばらくしてから増加しました。
・外来診療の数は多少増えましたが、入院診療の数は増えませんでした。
〇利用料が減額された場合
・予防的および治療的なヘルスケアサービスの利用が、ごくわずかなものから大幅な増加をしているケースもあります。
Lagarde M、PalmerN。中低所得国の医療サービスへのアクセスに対するユーザー料金の影響。系統的レビューのコクランデータベース2011年第4号。番号:CD009094。DOI:10.1002 / 14651858.CD009094。
まとめ
日本の場合ですと、乱立する施設と、顧客獲得に明け暮れる日々となり新しいサービスや治療などを導入するところも多くなってきています。
完全にそのパターンに当てはまるわけではない論文でしたが、如何でしょう?
値上げするとそうなることは安易に想像がつきますが、値引きや免除してもそんなに人は増えないという・・・
結果自体にバラツキがあるので、当てはまりにくいことです。
つまりは、金額設定を変更するならそれに見合った理由が必要ということになります。
原材料高騰、消費税増税とか個人ではどうしようもない問題に対しては寛容になるものですが、よくわからない理由で増額することってありますよね?
一度見たことがあるのは、それまで1,000円でやっていたマッサージのサービスを追加したサービス(明らかにコスト低めなやつ)によって3,000円にするというケースが・・・
3倍の理由をどう説明するのかと思ったら、追加したサービスのためとしか言われなかったです。
というように、1度設定したものを変更するなら変更する理由まで明確にしないと人は離れることは当然のこと。
論文にあったような質を向上させるように(どのような質を向上させたのかは気になりますが)
ただ意外と減額や免除にするような一見特になるような状態でも、極端に人は増えないこともあるよ。という一面もありました。
こういう事例もあったということを考慮して、サービスの策定に活かせていただければ何よりです。