今回は消費者心理学について
欲しがるもの、必要とするもの、購買する行動や選択要因などを研究している心理学のことです。
現在では、各製品は高い、安いに関わらず実店舗からインターネットまで購入できるため、普段から目にする広告や製品にはこれらの心理学を考慮したうえで提供されています。
この心理学を知ることは、自身の決定に何が要因としてあるのか?また売る時には何が理由で売れ、何が理由で売れないのかを知ることが出来ます。
大まかにですが、消費者は購入する際に以下のことを見ています。
・個人的なおススメ(著名人や知人など)
・レビュー
・ブランド情報 (購入後のメリットが知りたい)
・信頼 (個人情報や銀行口座などの安全性)
・プロモーション (お買い得だと感じる)
・過去の経験 (過去の良い経験がリピーターになり、同じ製品を使い続ける)
・価格 (適正価格なのか)
よって、普段から目にする情報や報道などで不祥事などを目にしますが、それらは消費者心理に影響があるということがわかります。
昔ながらに「良い製品・サービスだから売れる」ということは盲目であり、上述した内容を遵守出来ている製品に人は動かされるということになります。
消費者行動を理解する
消費する行動に影響がある事柄として、心理的要因、個人的特徴、社会的要因ということが挙げられます。
企業はこれらの情報をまとめ、どの選択肢が今から未来にかけ最大の満足を齎すのか?という判断を予測します。
しかし、消費者は感情で動きます。
どういったことに着目し、何を記憶し、それらがどのように処理され、商品を購入し満足するのか?ということは感情によって左右されています。
よって、広告などは理性よりも感情的な影響力を考慮し作られてもいます。
どんなに良い製品であっても、不快な広告だと購買しないといったことです。
選択のパラドックス
一般的に購入する際に選択肢があることが好まれますが、選択肢は多すぎてもダメなことがわかっています。
2000年に発表されている調査では、お店に24種のジャムを置いたところ、いずれかを購入する客は3%だったが、6種に減らすと購入客は10倍となったことがありました。
この事柄は保険や消耗品など、あらゆる製品・サービスに当てはまります。
心理的には、消費者は選択肢が多いものに「自由」を感じます。
この「自由」は情報に基づいて自身で決定することが出来るため、感じられます。
しかし、選択肢が多すぎると圧倒され「不安」に陥ります。
この「不安」は、自分が選択したものよりも良い選択肢があるのかもしれない、と思うため、不安に感じます。
そして、選択肢が少なすぎると「自分の思い通りになる余地がない」と感じ購買意欲を失うということになります。
行動を変化させる
消費者がどれだけ購入するかは、企業の「説得」が必要になってきます。
説得は、人々の考え、モノ、他者に対する評価などに影響を与える必要があり、この説得は消費者の態度に影響します。
この態度は、消費者の行動を導く原動力でもあります。
この説得は、誰が、何を、誰に、という要素で構成され影響されます。
説得を行うには、その人の信頼感が必要であり、受けてとの間に共通点がプラスに働きます。
そして、内容としてプラス面だけではなく、マイナス面を提示することも好印象を与え、説得はより力を増します。
この説得は繰り返し行われますが、新鮮味が無くなるほど反復すべきものでもありません。
また、高い知能を持つ人は、受け手としてのメッセージの内容を的確に判断するため説得が難しい傾向にあり、幸せを感じている人は、気分と製品を結び付けて捉えるため説得しやすい傾向にあります。
説得力を生み出す要素
・関わり
→その企業の製品やサービスに対する発言する権利があると、コミュニティの一員となったように感じる顧客は、購入する可能性が高くなります。
・権威
→指導者、販売員は信頼性を求められており、最適な提案、製品に精通している相手から購入することを望んでいる。
・好意
→自分に好意や称賛、評価を示す相手から商品を購入する傾向がある。
・大多数の意見
→大多数の人は、周りからの言動を真似るため、他の人が行動を変えたと知れば、自分にそれに倣う可能性があります。
・希少性
→手に入りにくそうな商品は魅力的にみえるため、企業はそれを特別なものに見えるような工夫をしています。
・返報性
→親切な行為や贈り物を受けたときにお返しをすること。
消費者神経科学
心理学とは違いますが、脳の画像分析研究により、消費者の行動が理解されるようになっています。
・インフォグラフィック
→データや情報を図表やグラフに要約して示すことは、消費者の心に残りやすくなる。
・フォント
→文字の見た目、読みやすさによって、消費者はそこに書かれているメッセージを読みたいかどうかを左右されている。
・動画
→効果的に物事を伝えることができる。テレビ、SNS、動画サイトに馴れた消費者を引き付けることが出来る。
・ミーム
→ミームとは、ユーモアに富んだ字幕を付けた画像のこと。
画像とユーモアが合わさることは、伝えたい考えや文化的シンボルが、見る人の脳に強く印象付けられることがわかっている。
・対称性
→左右対称で釣り合いのとれている画像は、調和の感覚を示す。
一方で非対称や歪みは活力や不調和を示す。
・形
→幾何学的な形は製品の信頼感や身近さを感じさせる。
また、有機的な形は創造的な印象を伝える。
色の心理学
人の反応を引き出すため、伝えたいメッセージと非言語的な雰囲気を1つにする色を選ぶ。
・緑
鮮やかな緑、明るい緑色は落ち着いた印象を与え、自然、健全さ、治癒、安心感、新たな始まり、環境への配慮、新鮮さといった性質がある。
暗めのエメラルドグリーンは富を表している。
・赤
鮮やかな赤は、熱烈な反応を引き出し、心躍る、セクシー、切迫、劇的、活発、刺激的、冒険的、やる気を引き出すといった印象を引き出す。
危険を伴う文脈では、攻撃的、暴力的、血生臭い印象を与える。
・青
空色はクールさ、信頼感、落ち着きを示す。
鮮やかな青色は活力に満ちた印象を表す。
暗い青は権威を表す。
・ピンク
淡いピンクは汚れなく、繊細、ロマンチック、甘い印象を与える。
鮮やかなピンクは、熱烈さ、官能、注意喚起、活力、祝賀を示す色である。
・紫
紫は直感や想像力と結びついている。
青色よりの紫では、静かな精神、霊性、神秘を表す。
赤紫は、創造的で、機知に富み、心躍る印象を与える。
価格の心理学
fMRIを使用した実験では、ヒトは製品を見た時に、意識的判断を下す前よりも反応することがわかっています。
これにより、見込み客にはどのタイミングで価格を提示するのか?という順序が重要となります。
「この製品が好きなのか?」と反応すると、感情的や直感的な脳の領域が活性化し、
「この金額を出す価値があるのか?」という反応は、合理的な脳の領域が活性化する。
しかし、行動に関しては各脳の部位による働きがどのようになるのかはわかってはいません。
まとめ
消費する、消費させるという立場を考慮し、それぞれの広告や売り込みなどを改めて振り返れば、述べてきたものがそれぞれ当てはまってきます。
それらが上手くハマれば購入へ、そうでなければ購入しないということもわかってくるかと思われます。
これらのことを理解した中で、各企業の宣伝は考えられていますが、凝り過ぎている宣伝を目にすることもあります。
医療機関などは特にその傾向にある分野もあるため、それらを見て判断する時は何を基準に判断すればいいのかわからないかと思われます。
例として挙げるならば、同業者の推薦者や患者の口コミなどを写真付きで掲載したりしていることです。
これを今まで述べたものに当てはめるのであれば、「レビュー」というものにハマるようですが、レビューの記載が多すぎて不安を増長させるような気もします。
面倒かもしれませんが、こういった機関への受診を検討するのであれば電話やメールなどやってみてください。
それらの対応でどのような人物がいる機関なのかが良くわかりますので。