今回は股関節骨折の術前牽引について
柔道整復師なら気になる「整復」の話に似通った内容に。
股関節の骨折に関しては整復法を習っているわけではないのですが、
術前に整復法のうちの牽引についてエビデンスがありました。
ケースバイケースなので、他部位の整復に通じるものではありませんが、
個人的な興味がそそられたので紹介します。
研究内容
・合計1654人の主に股関節骨折の高齢患者を含む11件の試験(6件は無作為化、5件は準無作為化)がレビューに含まれています。
ほとんどの試験は、特に不適切な配分の隠蔽、評価者の盲検化の欠如、および不完全な結果評価に起因するバイアスのリスクがありました。
非常に限られたデータプーリングのみが可能でした。
10件の試験では、主に皮膚牽引力と牽引力なしを比較しました。
入手可能なデータは、
疼痛の軽減または静止後の疼痛(視覚アナログスコア0:なしから10:最悪の痛み)
牽引からの利益の証拠を提供しなかった。
皮膚の牽引に関連する3つの軽度の副作用(感覚障害と皮膚の水疱)が報告されました。
結論
入手可能なエビデンスから、股関節骨折の手術前に牽引(皮膚または骨格のいずれか)を日常的に使用することには何の利点もないようです。ただし、特に特定の骨折タイプの牽引の潜在的な利点を除外したり、牽引の使用による追加の合併症を確認するには、証拠も不十分です。術前牽引の使用に関する証拠が不足していることを考えると、現在、術前牽引の使用を中止するか、適切に設計されたランダム化制御のコンテキストでのみ使用するために術前牽引を使用し続ける臨床医に責任を負わなければなりませんトライアル。
まとめ
結論からは牽引の利点はない。とのことでした。
他の骨折に対しては証拠がないため、利点などの言及はできないそうで。
柔道整復師の資格持ちや、勉強している人ならわかって頂けるかもしれませんが、
骨折や脱臼の整復に牽引を掛ける際は結構な力が必要になります。
別の論文では腰痛に対する牽引療法自体の意味も疑問視されている内容も見かけました。
牽引すること自体の必要性を考えなければならないようですね。
Handoll HHG、Queally JM、Parker MJ。成人の股関節骨折に対する術前牽引。系統的レビューのコクランデータベース2011、問題12。アート。番号:CD000168。DOI:10.1002 / 14651858.CD000168.pub3。