今回紹介するのは、医療従事者の情報開示と患者への利益に関係する話です。
インターネットが普通になって10年以上経ちますが、ほとんどの医療機関でwebページが公開されるようになりました。
また、メディアや本などの媒体にも情報は公開されるようになり、情報が溢れかえっている状態ではあるようですが、その分流動的に情報が流れてくる分何を基準に情報を選択するのか?ということを自分自身で決めていないと、開示されている情報を鵜呑みにしたままになってしまいます。
紹介するのは、医療従事者が開示している情報はどのような利益を生み出しているのか?
患者に利益はあるのか?医療関係施設に利益はあるのか?ということを研究している論文です。
研究の内容は?
研究は消費者、医療提供者(専門家および組織)、
ヘルスケア利用行動の変化に対して、あらゆる情報源からのパフォーマンスデータの一般公開の影響を見積もることが目標とされています。
さらに、医療従事者の業績、患者の転帰、
およびスタッフの士気に対する影響を推定しようとしました。
内容は、7570以上の専門家や組織などからのデータを分析した12件の研究と、
さらに3,333,386件の臨床的遭遇の場面、例えば患者の紹介、処方などを対象としていました。
4件のクラスターランダム化試験、
1件のクラスター非ランダム化試験、
6件の中断された時系列試験、
および1件の対照前後試験を含めたもの。
アメリカで8つの研究が行われ、
カナダ、韓国、中国、オランダでそれぞれ1つずつ行われました。
4件の研究で、消費者医療の選択に対する業績データの一般公開の効果、および質の向上に対する4件の調査が調べられた。
結論は?
パフォーマンスデータの一般公開は、
ヘルスケア消費者(3件の研究; 18,294件の保険プラン受給者)
またはプロバイダー(4件の研究; 3,000,000人の出生、および67人のヘルスケアプロバイダー)による長期のヘルスケア利用にほとんど影響を及ぼさない)、
またはプロバイダーのパフォーマンス(1研究; 82プロバイダー)
しかしながら、パフォーマンスデータの公的発表が患者の転帰を若干改善するかもしれないことを示唆する確実性の低い証拠もありました。
(5つの研究、315,092の入院、および7502のプロバイダー)
パフォーマンスデータの一般公開は恵まれない人々に異なる影響を与える可能性があることを示唆する単一の研究からの確実性の低い証拠がありました。
購入者による医療利用決定への影響、または悪影響についての証拠はありませんでした。
Metcalfe D、Rios Diaz AJ、Olufajo OA、マッサMS、Ketelaar NABM、Flottorp SA、Perry DC。医療従事者および医療提供者の行動に対するパフォーマンスデータの一般公開の影響。系統的レビューのコクランデータベース、2018年、第9号。番号:CD004538。DOI:10.1002 / 14651858.CD004538.pub3。
まとめ
つまりは情報を開示することは何の影響も起こさないことが結論として得られました。
どういうことかと言いますと、
とある医療施設で、当院はこの治療方法に特化しています。
〇〇例診た実績があります。
こんな手術もしています。
という情報を開示しているwebページを見たとして、
その情報を開示していることが患者さんに直接利益となる、症状を改善するために訪ねても統計的に良いという証拠はなかったということです。
そして、その情報を開示しているからと医療従事者のパフォーマンスが上がった!ということもなく、場合によってはちゃんと改善する人や一部の悩みが深く改善できていない人が改善したりすることもあるようです。
積極的にwebに情報を開示することよりも、もっと違うことに注力した方がいいのじゃないの?というようにもとれる結果でした。
とはいえ、論文も研究の限界点などを報告しているため確証というわけではない結果ということに。