今回は医療提供者と患者はどちらが主導権を握ったほうがよいのか?
この論文の背景としては加齢、慢性疾患と多発性疾患の罹患率の増加、
健康的なライフスタイルと予防への関心の高まり、
地域社会で提供されるケアによる病院からのケアの代替など、
現在および予想される問題 多くのタスクが必ずしも医師の知識やスキルを必要としないという事実のために、プライマリケア労働力の能力を拡大するために看護師を使うことへの関心が高まっています。
医師への看護師の代替は、アクセス、効率、およびケアの質を向上させるために使用される戦略の1つです。これは2005年に発行されたコクランレビューの最初の更新した論文です。
つまりは、患者が症状として訴えるものの中には、医師でなくとも良いものも多くなってきたから、看護師と医師の対応でどっちがいいのかな?という目的。
研究の内容は?
・医師の代わりとして働く看護師の影響を評価する18件のランダム化試験からレビューしました。
・1件の研究は中所得国で行われ、他のすべての研究は高所得国で行われた。
・看護レベルは、不明瞭であるか、研究間で、また研究内でさえもしばしば変動した。
・この研究では、最初の接触治療(緊急治療を含む)、身体的な苦情の継続的な治療、
そして糖尿病などの特定の慢性疾患を持つ患者の追跡調査に携わっている看護師を調べました。
・多くの研究で、看護師は医師から追加の支援や助言を得ることができました。
・プライマリーケアにおける予防サービスや健康教育のためのナースドクター代替はあまりよく研究されていません。
結論は?
・調査結果によると、看護師が提供するケアは、医師が提供するケアと比較して、
おそらく幅広い患者の状態に対して同様またはより良い健康上の転帰を生み出すことが示唆されています。
・看護師主導のプライマリケアは、医師主導のケアと比較して、特定の患者グループの死亡数がわずかに減少する可能性があります。
しかし、結果はさまざまであり、看護師主導のプライマリーケアが死亡数にほとんどまたはまったく影響を与えない可能性があります。(確実性が低い証拠)
・看護師主導のプライマリケアでは、血圧結果はおそらくわずかに改善されます。他の臨床的または健康状態の結果はおそらく似ている(中程度の確実性の証拠)。
・看護師主導のプライマリーケアでは、患者満足度がおそらくわずかに高くなります。(中程度の確実性の証拠)
そして、生活の質はわずかに高くなる傾向に。(確実性が低い証拠)
・このエビデンスの確実性は非常に低いと評価されているため、看護師主導のケアがケアのプロセスに与える影響については不明です。
・看護師主導のケアがケアの利用に与える影響はさまざまで、結果の種類によって異なります。
診察はおそらく看護師主導のプライマリーケア(中程度の確実性の証拠)でより長く、
通院通院回数は医師よりも看護師の方がわずかに多いです。(確実性の高い証拠)
・看護師と医師の間で処方数と事故および緊急治療室への出席に違いはほとんどまたは全く見られませんでした。(確実性の高い証拠)
・検査と調査の数、病院への紹介、および看護師と医師との間の入院にはほとんどまたはまったく違いがない可能性があります。(確実性が低い証拠)
・このエビデンスの確実性は非常に低いと評価されているため、看護師主導のケアがケアのコストに及ぼす影響については不明です。
ラウラントM、ファンデルビーゼンM、Wijers N、ワタナニルK、Kontopantelis E、ファンVught AJAH。プライマリケアで医師に代わる看護師。系統的レビューのコクランデータベース2018年、第7号。番号:CD001271。DOI:10.1002 / 14651858.CD001271.pub3。
まとめ
この論文では、看護師が主体となるケアは生活の質や満足度も僅かに高まり、
死亡率の減少や通院数の増加にも繋がる傾向にありました。
ドラマのようなフィクション作品で、医師の立場が絶対で看護師がコキ使われているような場面は目立ちますが、看護師と患者の絆で患者の病気が治っていく。みたいな物語が現実でもその傾向にあることが示唆されています。
働き方の改革により、看護師さん達への扱いも少しずつ変わってきていることは、
現役の看護師さん達から聞いたことがあります。
患者さんたちの症状や生活の質の改善に貢献している点は、知ってるよと思われている人もいるかと思います。
ですが、このようなエビデンスもありますので、看護師さん達の接し方を学ぶ必要があるようにも思えました。