今回は関節外股関節骨折の手術方法について
関節包外骨折と聞くと、柔道整復師の方は専門なので当然ですが、
始めは何のことかイメージし辛いものでした。
関節には「関節包」と呼ばれる袋みたいなものがありまして、その外の部分で骨折するか中で骨折するかで、関節包外、関節包内という文字通りの分類が行われます。
この関節包外骨折の手術療法には内固定という方法もありますが、
不安定な骨折場合、不良となるケースの報告があります。
そこで内固定のままで良いのか、関節を置換する形成術の方が良いのか?
このエビデンスを紹介します。
研究内容
転子部に不安定な嚢外股関節骨折のある70歳以上の合計148人を含む2つのランダム化比較試験が特定され、このレビューに含んだ。
両方とも、長期的な結果の不適切な評価を含む方法論的な制限がありました。
ある試験では、セメント固定術とスライディングヒップスクリューを比較しました。
これにより、手術時間、局所創傷合併症、機械的合併症、再手術、死亡または1年前の以前に独立した患者の独立性の喪失に関する2つの治療法の間に有意差は認められなかった。
しかし、関節形成術グループでは輸血の必要性が高かった。
他の試験では、セメントレス関節形成術と近位大腿骨釘を比較しました。
また、関節形成術グループでは輸血の必要性が高いことがわかりました。
手術による失血が大きくなり、手術時間が長くなります。
機械的合併症、局所創傷合併症、再手術、一般的合併症、1年死亡率または長期機能に対する2つの介入間に有意差はなかった。
プールされた転帰データはいずれも、輸血を必要とする関節形成術群の参加者数が有意に多いことを除いて、関節形成術と内固定の間に統計的に有意な差を生じなかった。
結論
置換関節形成術が被膜外股関節骨折の内固定よりも利点があるかどうかを判断するためのランダム化試験からの証拠は不十分です。不安定な骨折の治療のために、関節形成術と内固定を比較する、より大規模な、適切に設計されたランダム化試験が必要です。
まとめ
結論からはどちらの方が優れているという話にはなりませんでした。
関節置換術の方は手術時に出血量が多くなる報告がありましたが、
それらの心配については事前の検査でクリアできるはず。
気になるのは予後についてですが、それについても差が無かったということですので、
人情としては手術方法の経験数などで選択しそうなものですね。
この結論からではそう言うしかありませんので、担当医とのご相談を。
パーカーMJ、Handoll HHG。成人の関節包外股関節骨折に対する置換関節形成術と内部固定の比較。Cochrane Database of Systematic Reviews 2006、Issue 2。番号:CD000086。DOI:10.1002 / 14651858.CD000086.pub2。