今回は痛み止めについて紹介します。
局所鎮痛剤は多様な疼痛に使用されています。
急な症状で代表されるのは、筋挫傷や捻挫、腱障害、筋肉痛などがあります。
また、慢性症状では手や膝の変形性関節症、神経障害性疼痛などがあります。
紹介する論文では、これらの疼痛の治療において、皮膚に塗布する局所鎮痛剤の
鎮痛効果、関連する有害事象について研究しているものです。
局所鎮痛剤は多様な疼痛に使用されています。
急な症状で代表されるのは、筋挫傷や捻挫、腱障害、筋肉痛などがあります。
また、慢性症状では手や膝の変形性関節症、神経障害性疼痛などがあります。
紹介する論文では、これらの疼痛の治療において、皮膚に塗布する局所鎮痛剤の
鎮痛効果、関連する有害事象について研究しているものです。
研究の内容は?
・206件の研究から約30,700名を対象としていた。
・局所鎮痛剤と局所プラセボを比較したエビデンスを集めた。
・局所鎮痛剤と経口鎮痛薬を比較したものもあった。
・急性の筋骨格痛(筋挫傷や捻挫)における約7日時点での評価には、
ジクロフェナク・エマルジェル:エマルジェル群78%、
プラセボ群20%、(2件の研究、314名、NNT 1.8(95% 信頼区間 1.5 ~ 2.1)
ケトプロフェンジェル:ケトプロフェン群72%、プラセボ群33%
(5件の研究、348名、NNT 2.5(2.0 ~ 3.4)
ピロキシカムジェル:ピロキシカム群70%、プラセボ群47%
(3件の研究、522名、NNT 4.4(3.2 ~ 6.9)
ジクロフェナク・フレクター湿布:フレクター群63%、プラセボ群41%
(4件の研究、1030名、NNT 4.7(3.7 ~ 6.5)
他のジクロフェナク湿布:ジクロフェナク湿布群88%、プラセボ群57%
(3件の研究、474名、NNT 3.2(2.6 ~ 4.2)
・慢性の筋骨格痛(主に手や膝の変形性関節症)では、
6週未満の局所ジクロフェナク製剤:ジクロフェナク群43%、プラセボ群23%
(5件の研究、732名、NNT 5.0(3.7 ~ 7.4)
6~12週以上のケトプロフェン:ケトプロフェン群63%、プラセボ群48%
(4件の研究、2573名、NNT 6.9(5.4 ~ 9.3)
6~12週以上の局所ジクロフェナク製剤:ジクロフェナク群60%、プラセボ群50%
(4件の研究、2343名、NNT 9.8(7.1 ~ 16)
帯状疱疹後神経痛では、高濃度局所カプサイシンによるわずかな有効性について、中等度の質のエビデンスがあった。
(カプサイシン群33%、プラセボ群24%、2件の研究、571名、NNT 11(6.1 ~ 62)
他の治療の有効性に関するエビデンスの質は低い、または極めて低いと判断した。
また、限定的な有用性が確認されたものとしては、
急性疼痛に対するイブプロフェンジェルとクリーム、不特定のジクロフェナク製剤およびエマルジェル以外のジクロフェナクジェル、インドメタシン、ケトプロフェン湿布、および慢性疼痛に対するサリチル酸系発赤剤。
他の介入(急性疼痛に対する他の局所NSAIDs、局所サリチル酸製剤、神経障害性疼痛に対する低濃度カプサイシン、リドカイン、クロニジン、あらゆる疼痛に対する薬草療法)に関するエビデンスの質は極めて低く、概して単一研究や疎データとの比較に限られた。
・急性疼痛における全身性または局所性有害事象の発生率は、局所NSAIDs群(4.3%)と局所プラセボ群(4.6%)で同程度だった。
(42件の研究、6740名、エビデンスの質は高い)
Derry S, Wiffen PJ, Kalso EA, Bell RF, Aldington D, Phillips T, Gaskell H, Moore RA. Topical analgesics for acute and chronic pain in adults ‐ an overview of Cochrane Reviews. Cochrane Database of Systematic Reviews 2017, Issue 5. Art. No.: CD008609. DOI: 10.1002/14651858.CD008609.pub2.
結果はどうなのかと言いますと!
局所ジクロフェナクとケトプロフェンの複数の製剤が、
・急性症状の捻挫や筋挫傷などの急性疼痛に有用
慢性症状の筋骨格痛に対して使用される(6~12週以上の評価)結果では、
手と膝の変形性関節症が限定的な場合により有用だそうです。
局所高濃度カプサイシンも限定的ではありますが、
帯状疱疹後神経痛に有効性が認められています。
但し、変形性関節症と帯状疱疹に関しては、有効であった方の数が少ないことを示す数値で結論付けられていたため、必ずしも!と言えるものではないようです。
これらから、疼痛を抑えるために薬剤の有用性はあるとなりますが、
症状の状態によっては結果が左右されることもありそうです。
筋肉、骨格系の痛みが生じている場合などは、原因が骨格にあります!と東洋医学に従事している人は言ったりもしますが、それでも痛みが無くならないこともあります。
不安にさせてしまうかもしれませんが、痛みが起きている時の状況を冷静に教えてくださると見えていないことがわかってくることもあります。
これらの鎮痛剤は対処するためのヒントの一つですが、
薬、骨格以外にも痛みを抑えることが出来る場合もあります。
その話は別の記事で。
兎に角、痛みで日常生活に支障が出ている時は、副作用はありきですが、
これらの鎮痛薬に頼ることも良いのかも知れません。