KeiS a medical professional

This is a blog about the scientific basis of medicine. A judo therapist reads research papers for study and writes about them.

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【運動指導】野球の指導に必要なのは経験?最新機器?って研究

Friday, December 18, 2020

論文運動

今回紹介するのは、野球のピッチングと怪我についての内容です。

このブログは、医学と健康に関して後悔しないような選択肢をとってもらうために、 科学的根拠の高い論文などを紹介し、それをどう使っていくべきなのか?を私が解説・提案していくブログです。

ピッチングといえば多様な指導方法があり、現場ではまぁまぁ混乱を招くこともあります。

適切方法なのでしょうが、その中でも最も良いというものが決めづらいものなのです。

そんな中で、ピッチングにおける怪我をする条件はこれじゃないの?というものが示されている論文がありましたので紹介します。


先に結論から申し上げますと、

ピッチング技術を怪我に結びつける直接的な証拠は限られているが、
ピッチング技術関節の負荷に影響を及ぼし
ピッチング中に経験した関節の負荷がピッチング関連の上肢の損傷に関連していることを支持する間接的な証拠がある

関節荷重の増加に関連する観察可能な技術的エラーを特定するさらなる研究が必要です。
そのような研究はけがの危険性についてピッチャーを選別し、
現場での技術の変化を追跡し、コミュニティベースの科学的証拠の翻訳容易にするために使用できる検証済みの定性的投球評価ツールを開発するのに役立ちます。 

関節の負荷や怪我のリスクに影響を与える投球テクニックについてより多くの知識がられるように、取り組むべき特定のスキル要素、指導モード、目標人口、プログラムの期間を考慮しながら投球テクニックを指導とフィードバックを通して修正する方法を模索する必要性が高いとのことでした。

では、詳しい研究内容ですが、
野球選手にとって、何らかしらの負傷を抱えることは半数以上にのぼる疫学研究があります。
今回紹介しているピッチングという部分に関しては、肘の尺側側副靭帯の損傷が多くなり、手術などの選択をした場合12~18か月の治療期間を要します。

では、どんな時に負傷するの?という所ですが、着目されていたのは肩の角度についてです。

肩の角度が不適切な選手は、適切な選手に比べ50%以上も負傷を経験しているデータがあるようです。

これらは以下で関節の負荷と表現することもありますが、不適切な投げ方だと関節に余分な負荷がかかってしまいます。

何でかかってしまうの?というところをすごくざっくりと説明しますと、
投球する際のコッキング期では、体の回旋による遠心力によりそれぞれに負荷がかかりますが、腕においては手首側よりも片側の方が後から負荷がかかってくることが要因の1つとされています。

その時に方の角度は水平外転で17°~21°が動くのですが、この際に負荷が増加すると肩関節内の組織などに負担がかかります。

ここまでは今まであったスポーツ医学や動作分析から導き出される結論内の話なので、
知っているであろうという体で書いております。
ですので大分割愛しております。

このことから、投球動作時のコッキング期から肩の負担が増加するため、
負担を減らすには他の関節の動きが必要になってきます。

股関節などのことです。

では、次はどうやって適切な技術を身に着けさせるの?という部分です。

1つプロの投球フォームは参考にしてはならないということが、
論文内で指摘されておりました。

理由として、投げる基礎となる体の違いによるものだからだそうです。

それはそうですよね。

そして、不適切な指導として挙げられていたものでビデオの撮影による評価です。

実際に正確な角度を測ることはかなり困難で、アメリカ医学会でもそんな理由でビデオ撮影による指導は推奨されておりせん。

対策としては、モーションキャプチャーが有効だそうです。
中々にお金が掛かりますが・・・

もし、視認性を持たせた指導でしたらモーションキャプチャーを使用することが推奨されています。
理由は、各部につけたポイントで正確に角度を測定できるため。


そして、関節的には、肩関節と肘関節の動きを重要とし、
足での床反力、膝の屈曲と伸展角度、前方への傾斜などの要素でボールが早く運べるようになることが関連付けられています。

そして、口頭指導でこれらを伝えることが支持されており、
指導する時も、内因性(自分の動きを気を付ける)よりも、
外因性(目標物を決めて狙うなど)を理解し指導した方がより成果は高まるようです。

そして、これらの介入は長期的に介入することが望ましいとされています。
実験では、9か月プログラムを実行させ3か月後に持続できるているかを調査したところ、元に戻っていたそうです。

よって、9か月以上の長期的にかけて指導が必要だよってことが目安として示されています。

大山咲子

この論文からは、ヒントとして得られるものとしては、介入方法(モーションキャプチャーや指導する視点)と、介入する期間の目安が得られて面白い論文と思って紹介しました。


正直に、関節の細かい角度などは指導者のバイアスによって色々な意見がありすぎるので、コレっていうことは確定された論文が無い限り私からは言いません。

ですが、スポーツという楽しみながら、場合によっては一生できるモノを持続して行うためにも怪我の予防はしたいもの。

そんな方々のヒントになればです。 

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