今回は開業医と抗生物質の処方について
風邪など必要のない症例でも抗生物質を処方している一般開業医の問題は日本だけに留まりません。
ガイドラインを遵守しているはずな開業医が、何故処方するのか?
一般的な理由と処方割合について調査している研究論文を紹介します。
研究内容
NIVEL(オランダ保健サービス研究所)プライマリケアデータベースのデータを使用して、抗生物質の適応と処方を評価しました。
患者の好みを調べるために、NIVELのオランダのヘルスケア消費者パネルのメンバー間のアンケートと組み合わされました。
NIVEL-PCDによると、これらのメンバーのうち286人が2015年に急性咳、急性副鼻腔炎または尿路感染症について一般開業医(GP)に受診しています。
ロジスティックマルチレベル回帰分析を実行して、仮説をテストしました。
結論
ガイドラインが選好を考慮に入れる余地を提供する場合にのみ、患者の選好は役割を果たします。したがって、我々の結果は、ガイドラインを適用することと患者の好みを含めることとの間に矛盾を示唆していません。他の状況でこの可能性のある競合を調べるために、さらなる研究が推奨されます。
解説
上記の調査から17%の症例では抗生物質の適応があり、33%は適応していません。
これらの42%は実際に抗生物質の処方をしていたという結果もあります。
これらのデータから薬に対する「患者の好み」というものが影響しているという結論があります。
患者が薬の処方に対して口出しをする。ということについてはよく聞く話ですが、
適応しない抗生物質の処方は耐菌性を獲得することが問題となっています。
医師は患者の好みに従わざる得ないことも場合によってはある。という話ですので、
医師と患者のコミュニケーション問題が考えられます。
その患者のニーズと薬の適応が正の関係に無いこともあるようで、この研究からはそれらの関係性について結論が出ていました。
まとめ
研究では急性咳、急性副鼻腔炎、尿路感染症の3つの疾患に対して調査されたもの。
患者の選択は有益となる場合もある。という結論になちましたが、
上記の疾患外ではこのデータ通りとなることは不明です。
医師側は薬の選択について、患者側としては質問をする。ということで解決していけそうな事柄でした。
Brabers AE、Van Esch TE、Groenewegen PPなど 一般開業医が抗生物質処方のガイドラインを適用し、患者の好みを含めることの間で矛盾がありますか?患者は順守を好む。2017; 12:9–19。2017年12月21日公開。doi:10.2147 / PPA.S147616