今回は学習が知能指数に及ぼす影響について
IQ(Intelligence Quotient)という知能指数を測る指標があります。
IQの信憑性については今回は置いておきますが、一定の基準を設けるために用いられるこの数値は遺伝、環境、学習において変化することもあります。
ほとんどの文献では、遺伝性のものによる影響で大きく数値が変わらない。
ということが定説ですが、実際のところどうなのだろう?
そう思われる方もいるかと思います。
紹介する心理学の論文からは学習によってどれぐらいの変動があるのか?
ということについて研究されていた結論を紹介します。
結論から
学習によって上昇できるIQ数値は1~5ポイントというデータが得られました。
持ち合わせている認知機能などでも幅があるため、上記のような数値となっているようですが、こんなものだそうで。
研究者たちからは、知能指数がもたらす今後の影響として
Ceci(1991)は、テストに直接関連する教材の指導、抽象的な推論などの思考スタイルのトレーニング、集中力と自制心の浸透など、多くの有望な経路を概説しました。効果の一部をもたらす可能性のある近位の教育プロセスを特定しようとする研究(読書など、Ritchie、Bates、&Plomin、2015 ; Stanovich、1993 ; Watkins&Styck、2017を参照 ); 特定のサブテストに対する教育効果の違いに焦点を当てたもの(例:Ritchie et al。、2013)、および教育の質だけでなく質のばらつきの影響に対処するもの(例:Allensworth、Moore、Sartain、およびde la Torre、2017年 ; Becker、Lüdtke、Trautwein、Köller、およびBaumert、2012年 ; Gustaffson 、2001)はすべて、メカニズムの明確化に向けて前進する有望な方法です。
というコメントも。
研究内容
・615,812人を対象にした142の効果サイズを調査した研究。
・1年間学習し、認知機能に関するテストなどそれぞれのテストを実践していた。
まとめ
研究結果から、最大5ポイント上昇する。
ということで結論付けられていたものでした。
多いと捉えるか少ないと捉えるかは人それぞれですが、
1年間でこの結果ですので、継続した学習の場合は数値面ではより変化が出ると研究者たちも可能性があるということでした。
学習方法については、この方法でないとダメ!ということは一切なく、
刺激のある学習なら継続すれば結果は出るものだと思われます。
医療従事者の多くは学生時代には勉強し過ぎるぐらいするけど、
各医療関係施設に配属されると、学習が継続されるかは人によってマチマチに。
資格の特性などでも変わってはくるかと考えられますが、
私が取得した柔道整復師であれば学習し続ける人は少ないと聞きますし、目にします。
何らかしらの学習はしていますが、「医療」という分野においては置いてけぼりな人もいますので、一般臨床などの疾患の特徴などは抜けることもあったり。
求められていないから学習しない。という考えもあるかもしれませんが、
何時、それが必要となり救急措置や対処などをするやもしれません。
IQと医療の学習という部分に紐づけましたが、
学習を継続すればスコアが上昇する。ということは、医療現場で問題となる「偏見」も減るというもの。
単にIQに関して好きな人にも朗報?となる研究結果でした。
Ritchie SJ、Tucker-Drob EM。教育はどの程度知能を向上させますか?メタ分析。Psychol Sci。2018; 29(8):1358–1369。doi:10.1177 / 0956797618774253