社会不安と口臭の関係について
Tsuruta, M., Takahashi, T., Tokunaga, M. et al. Relationships between pathologic subjective halitosis, olfactory reference syndrome, and social anxiety in young Japanese women. Relationship between pathologic subjective halitosis, olfactory reference syndrome, and social anxiety in young Japanese women. BMC Psychol 5, 7 (2017). Available at: https://doi.org/10.1186/s40359-017-0176-1
内容
病的とされる主観的口臭とは、他人や口臭計の測定値による客観的な口臭の確認をせずに、口臭を自覚していると言われるものです。そして、主観的な高頻度の社会不安障害との関連が報告されています。
自臭症は、自分が他人に不快な体臭を発しているという誤認から生じるもので、一般的に自臭症は複数の身体部位に焦点を当てることも知られています。しかし、自臭症の人が最も気にする部位は「口」であることが知られており、この2つの症状には類似した特徴があると考えられます。
研究者らは、病的な主観的口臭、自臭症、社会不安、体の部位の匂いへの執着の間の潜在的な因果関係を調査しました。
対象となったのは女子学生1360名(平均年齢19.6±1.1歳)を対象に,病的な主観的口臭,自臭症,社会不安,口や体,脇や足などの体の部位のにおいへのこだわりに関する自記式質問紙を作成しました。病的自覚的口臭の尺度を作成し,その得点(病的自覚的口臭のレベル)に応じて3つのグループに分けました。
ベイジアンネットワークを用いて,病的主観的口臭,自臭症,社会不安,体の部位の匂いに対するこだわりの因果関係を分析しました。
結果として、病的主観的口臭のレベルが異なると,自律神経失調症と社会不安の結果に統計的に有意な差が見られました。(P <0.001)残差分析では,病的な主観的口臭のレベルが高い学生ほど,口臭や体臭への関心が高いことが示されました。(P <0.05)
ベイジアンネットワーク解析の結果,社会不安は病的主観的口臭と自臭に直接影響し,口臭や体臭への執着も病的主観的口臭に影響することが示されました。