脂肪細胞は、認知機能の低下や神経変性に中心的な役割を果たしています。
Adipocytes have been shown to play a central role in cognitive decline and neurodegeneration
DOI:10.1016 / j.isci.2021.103262
内容
本研究では、動物実験により、脂肪細胞が脳機能の全身的な反応を調節し、記憶や認知の障害を引き起こすことを明らかにしました。
Na,K-ATPaseの酸化剤増幅ループの活性化は、脂肪細胞と海馬における重要なタンパク質マーカーの発現に影響を与え、脳機能を低下させ、神経変性を引き起こす可能性があることがわかり、脂肪細胞をターゲットにしてNa, K-ATPaseを拮抗させれば、これらの結果を改善できる可能性があると考えられます。
研究チームは、ペプチドNaKtideを脂肪細胞に特異的に放出する遺伝子組み換えマウスモデルを用いて、NaKtideがNa, K-ATPaseのシグナル伝達機能を阻害することを発見しました。
NaKtideを脂肪細胞に特異的に発現させると、脂肪細胞の表現型の変化が改善され、記憶や認知に関連する海馬の機能が向上することがわかっています。
このことから、欧米型の食事によって酸化ストレスを誘発すると、脂肪細胞に限定した炎症性サイトカインの産生が増加し、海馬の記憶・認知に関するタンパク質マーカーが変化することが説明できると研究者らは述べています。