貧困層の人は痛みに鈍感だと言われています。
Poverty and Pain: People with Low SES Believed to be Insensitive to Pain
https://doi.org/10.1016/j.jesp.2021.104116
内容
10回の実験(N = 1584)で,社会経済的地位(SES)による痛み治療の格差を説明するために,痛み感受性の仮説的なバイアスを調べました。
これによると、SESの低い人はSESの高い人に比べて痛みが少ないと考えられ(研究1a-1c)、この効果は人種(白人、黒人)や性別(男性、女性;研究2-3)によって異なるといわれています。
次に、SESが痛みの感受性に及ぼす影響の根底にある2つの潜在的なメカニズム、すなわち「非人間性」と「人生の困難に関する信念」について調べました。(研究4-5)
痛み感受性の偏りについて、SESによって人生の困難さの説明が異なることを裏付ける証拠を観察し、下流への影響を調べました。
また、医療における治療勧告に対する痛みの感受性の偏りを評価したところ、一般参加者(研究6-7)と医療従事者(研究8)の両方が、SESの低い人は痛みに対する感受性が低いため、より集中的な痛みの管理を必要としないと考えていることがわかりました。
これらの研究結果は、このようなSESの違いによる痛みの感受性の判断の系統的な偏りが、心理学理論や公平な痛みの治療に影響を与えることを示しています。