女性にテストステロンを投与すると、パーソナルスペースのサイズが大きくなることが示されました。
Testosterone administration to women increases personal space size
Masson, C., van der Westhuizen, D., Noel, JP. etal. testosterone administration to women increases personal space size. EXP Brain Res 239, 1639-1649 (2021). https://doi.org/10.1007/s00221-021-06080-1
内容
パーソナルスペース(PPS)は、身体を直接取り囲む空間であり、身体と環境の感覚的・運動的なインターフェースとして概念化されています。PPSの大きさは、個人や状況によって異なり、PPSの大きさに決定的な役割を果たす特性、条件、社会的要因があります。
ヒトのホルモンであるテストステロンは、社会的動機づけ行動の調節に重要な役割を果たしており、暗黙的・無意識的に優位性動機を高めることが知られています。
研究者らは、女性(N = 19)を対象としたテストステロン投与試験において、このテストステロンの優位性向上効果がPPSの表現の変化として反映されるかどうかを調べました。
参加者は、複合現実感のある設定で、視覚と触覚の統合課題を行ってもらっていました。
その結果、テストステロン投与によって参加者のPPSが有意に拡大し、テストステロンによって参加者が暗黙のうちにより多くの空間を確保するようになったことが示唆されました。
この知見は、テストステロンの優位性向上効果が、PPSの感覚運動処理レベルに反映されていることを示唆しています。