KeiS a medical professional

This is a blog about the scientific basis of medicine. A judo therapist reads research papers for study and writes about them.

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偏見がなくなる薬物療法って話の研究結果

Wednesday, March 24, 2021

精神科



今回は偏見を減らす薬について


皆さんは、誰かしら、何かしらについての偏見がありますか?

左利きは頭がいい?中国人はいい加減だ?といった何かしらの偏見があると思われます。

私の中では、車の運転が雑なやつは他のトコでも雑だ、と思っています。

そんな偏見ですが、本来はコミュニティを守るために取られる心理的な感情だそうで、偏見が過激になると対立するコミュニティを滅ぼしたりするようです。

そんな偏見に対して行われた薬物治療の研究を紹介します。


研究の内容

白人の健常ボランティア36人に対してβ遮断薬、プロプラノロール40mgを投与する群とプラセボを投与する群にランダム化割付をした二重盲検試験を行っていました。

投与から1~2時間後に人種についての潜在連想テストを受けてもらっています。

この潜在連想テストは、PCのモニターに黒人と白人の写真を出し、好ましいか否定的かを分けるというもの。

結果として、

プロプラノロールは心拍数を減少させ、人種に対する偏見が減っていくという傾向が見られました。

また、プラセボ投与群に関してはこのような兆候は確認できていないようで。

但し、潜在連想テストの成否よりも薬に本当に影響をもたらす作用があったのか?という疑問は残っているようで、言い切ることは難しいようです。


また、神経学的な検査が行われていなかったようですので、投薬した作用が扁桃体に影響したのでは?という議論も的を射ているのかは謎なところも。


まとめ

該当薬による介入では、人種に対する感情に変化があったことが示されいました。

しかし、薬物の作用が完全に証明されているわけではないようです。


人は生きていくために、何らかのコミュニティに属さねばなりませんが、自分の保身のために偏見といった思想、感情を抱き"部外者"を排除しようとします。

思い浮かべやすいのは、遊んでいる友達とのグループに、混ぜて~と言った友達を断るような行動ですね。

そういったことが過剰になっていくと、いじめや差別、戦争といった形になるようですので、薬に頼るかどうか?というよりは、人の行動としてこのようなメカニズムが心理学により説明されていることを知るだけでも違ってくるのではないでしょうか?


Terbeck S, et al.
Propranolol reduces implicit negative racial bias.
Psychopharmacolgy(Berl). 2012;222:419-24

 

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