今回は野球選手とピラティスについて
紹介する論文はパイロットケーススタディであるため、同様の条件でも再現性があるか?と言われるとわかりませんが、役に立つ部分はあるためご覧ください。
内容として、野球選手の傷害予防のためピラティスによる介入が行われた場合に、各筋群に有意な変化は出るのか?というものになります。
研究の内容
このパイロットケーススタディの目的は、青年期の野球選手のハムストリング/大腿四頭筋の比率、体幹の強さ、肩の強さ、体組成に対するピラティストレーニングの効果を調査することです。
15歳の青年期の野球選手8人が、リフォーマーとキャデラックを使用してピラティスプログラム(教師ありトレーニング、1セッションあたり50分、週3回、8週間)に参加しました。
プログラムの強度は、初級レベルを1〜2週間、中級レベルを3〜6週間、上級レベルを7〜8週間適用することにより、徐々に増加させました。
ハムストリング/大腿四頭筋の比率、体幹の強さ、肩の強さ、体組成に対するピラティスプログラムの効果を検証するために、参加者はトレーニング前後の生体電気インピーダンス分析と等速性テストを実施しました。
ピラティストレーニングの後
・左腕の筋肉量(P <0.01)
・体幹の筋肉量(P <0.01)
・左右の膝屈曲ピークトルク(それぞれP <0.01およびP <0.05)
・右膝伸展ピークトルク(P <0.05)
・左右のハムストリング/大腿四頭筋比(両方ともP <0.01 )
と有意な増加が観察されました。
8週間のトレーニング後では、
・体幹屈曲ピークトルク(P <0.05)
・肩屈曲ピークトルク(P <0.05)
と有意な増加が観察されています。
したがって、ピラティストレーニングは、筋肉量、ハムストリング/大腿四頭筋の比率、体幹と肩の強さを増加させ、野球選手のパフォーマンスを向上させ、青年期の選手の将来の怪我を防ぐのに役立つ可能性があることを示唆しています。
トレーニングの内容は?
プログラムレベル | 内容 |
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ウォームアップ(5分) |
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メインエクササイズ(40分) | |
1〜2週間 |
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3〜4週間 |
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5〜6週間 |
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7〜8週間 |
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クールダウン(5分) |
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といった内容で介入されていました。
ピラティスが専門というわけではないので、詳しいことは分かりませんが、該当する名前を検索してみたら近いものが見つかりますので気になる人はどうぞ。
まとめ
このケーススタディによれば、8週間の介入により大幅に筋肉量が増える介入であったのがピラティスでした、という内容。
しかし、このケースには制限事項があり、
・ピラティス以外のトレーニングを禁止していない
・食事の管理がされていない
といった要因があるため、完全にピラティスによる変化なのかが言い切れない、ということがあります。
そうはいっても、実際には様々なものに手を出す人が多いと思われますので、8週間ピラティスによる介入はやってみても良いのかもしれません。
昨今の流行では、ウェイトトレーニングをビシバシやる、といった形やハードな有酸素運動を実施したりと聞きますが、そういった介入と今回の結果だとどう違うのかは気になるところです。
Park JH, Kim HJ, Choi DH, Park S, Hwang YY. Effects of 8-week Pilates training program on hamstring/quadriceps ratio and trunk strength in adolescent baseball players: a pilot case study. J Exerc Rehabil. 2020;16(1):88-95. Published 2020 Feb 26. doi:10.12965/jer.1938732.366