今回は美容と身体醜形障害について
症例
・26歳の女性
多数の顔面病変を診せるために病院を訪れました。
彼女は苦痛と不安を感じており、顔の病変を治療して取り除き、外観を改善したいと希望しています。
これらの病変により、「苛立ち」と「自身の醜くさ」に悩まされています。
身体診察で、両側の頬、顎、額に皮膚色の丘疹が見られました。
また、同箇所に複数の蜂蜜色の痂皮性丘疹もあります。
医師は、これらの病変は皮膚のメラニン細胞性母斑であると診断し、それらの治療には選択的な外科的切除が必要であると説明しました。
そして、外科的切除により、顔に複数の傷跡を残すことも告げました。
彼女は手術を希望していますが、医師は「よく考えた方がいい」とアドバイスしました。
彼女は、失望し、涙を流しました。
彼女は顔面の欠陥がある限り満足することはなく、医師が切除を行わないのなら、自分で病変を取り除くと述べています。
以前に同じ状況で他の皮膚科や形成外科を受診したことがわかりました。
彼女はこれらの顔の病変が彼女の日常生活を損なうと主張し、自分で病変を取り除こうとして何時間も鏡を見つめ、この「醜さ」のために外出することを拒否する感情があることがわかりました。
症例から考察
多くの研究で示されたのは、身体醜形障害(BDD)をもつ患者は、美容処置後の心理的転帰が悪いことがわかっています。
BDDを持つ成人250人を対象とした研究では、治療の68.7%が、全体的なBDDの重症度の改善をもたらさないことがわかりました。
また、患者が悩んでいる領域へ焦点を当てずに治療を施した結果、全体的な改善に役立った研究結果もあります。
BDDを持つ患者50人を対象とした研究では、81%が美容的介入に不満を持っているか、非常に不満を持っていると答えました。
これは、手術した形成外科医によれば、自覚している「醜さ」への関心が介入前より大きくなっていることが原因と考えられています。
よって、BDDの疑いがある場合、すべての侵襲的手技、特に選択的手技を避けることが推奨されます。
求められるのは、患者に共感し、客観的かつ非判断的な方法で患者にアプローチすることが重要となります。
患者のBDDによる欠点だけに焦点を合わせるのではなく、患者全体を管理することが不可欠となるからです。
以上のことから、今回の症例では上述のような介入が求められていると考察されていました。
まとめ
Saade DS, de Castro Maymone MB, Vashi NA. The ethics of the cosmetic consult: Performing procedures on the body dysmorphic patient. Int J Womens Dermatol. 2018;4(3):185-187. Published 2018 Jun 6. doi:10.1016/j.ijwd.2018.04.002