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【テニス肘】上腕骨外側上顆炎の保存療法で推奨されるもの、優先されないものは?

Tuesday, February 23, 2021

補完医療



 今回は外側上顆炎の治療法の根拠について

外側上顆炎という疾患は一般的なものであり、30~50歳代に発症しやすいともいわれています。

テニスなどのラケットスポーツで起きやすいことから「テニス肘」と言われたりしていますが、本症は疼痛の度合いによって日常生活に支障をきたすほどになったりもします。

そのため、疼痛管理に色々な方法を試したりするかと思われますが、今回紹介するのは簡単に利用できる「保存療法」の根拠性について紹介します。

どの程度信頼できるのか?どの程度期待できるのか?ということを踏まえご覧ください。


リスクファクター

肘の外側が痛む場合、上腕骨外側上顆炎と疑いますが、リスクファクターとして以下のことが挙げられます。

・前腕回内位で作業労働を行っている人

・軽作業と重量貨物を取り扱う人では、重症度に違いが出るくらいで罹患率に大きな違いはない。

・高血糖症の人

・僧帽筋と手関節背屈筋群の力が弱いラケット競技者

・BMIの高いラケット競技者

これらの事柄に当てはまる人が罹患していると、疫学調査にてわかっています。


テニスバンドは有用か?


疼痛を除去する、という点においてはテニスバンドの有効性は低い証拠のもとならば、という研究結果もあります。

ある研究によれば、テニスバンド群とストレッチ群を比較した場合、両群とも疼痛軽減に有用な結果は出ていましたが、9カ月後ではストレッチ群の方が有意な改善が見られた、というものがあります。

使用しても意味がない、ということではありませんが、テニスバンド単体で疼痛が消失する期待は薄いということです。


理学療法は有用か?


本症の保存療法の中で、理学療法の推奨度は高い分類となり、中期的な介入の観察研究においても、他の治療法と比較して有意な結果となることがあります。

テニスバンドと比較したものは前述した通りであり、ステロイド注射と比較した場合、短期的にみるとステロイド注射の方が疼痛除去に有意たる結果があります。

しかし、注射後に疼痛の軽減が見られないこともあるため、中期的な介入となると理学療法の有用性は高いとも考えられています。

理学療法にはストレッチやマッサージ、物理療法などが含まれていますが、参照にした文献ではストレッチのみ有用たる結果となっています。


長期的(1年ほど)介入の有効性を支持する文献は少なく、理学療法の有効性を期待する期間として短、中期的なものを想定した方が良いという研究結果が多数あります。


鍼治療は有用か?

鍼治療を支持する研究結果は少なく、疼痛軽減、握力の増加など、症状により困る事柄について変化が出ているものもあるが、徒手療法と比較した場合は徒手療法より優れているという結果はありません。

しかし、プラセボ群と比較した際は、鍼治療を支持する結果となっています。

これらの結果から、鍼治療を優先して治療介入の選択とするか?と聞かれると推奨はされていないということに。


体外衝撃波療法は有用か?

体外衝撃波療法を研究したものによると、安静時痛と負荷時痛を評価したものの結果によれば、短期的には疼痛軽減は望めるも、中期的となると有用か?という結果に。

6か月から1年後まで追跡した研究では、有用たる結果はないということ。

そして、有害事象として軽度の皮膚の発赤と気分不良などの報告があります。

軽度と書いていますが、中には患者からの離脱希望や骨の侵襲性などの懸念から推奨度が高い方法とは言えません。


まとめ

代表的な保存療法の結果として、このようなものになりました。

これらの結果は、メタアナリシスやランダム比較化研究などをまとめたものとなりますので、信頼性は高いものと言えますが、すべての人にそうと言い切ることは難しいです。

中には推奨されない方法で十分に満足している、ということもあります。


仮に私が上腕骨外側上顆炎となった場合、ストレッチをしながら様子を見て、1週間やってもVASや各種検査にて結果が出なければステロイド注射をすると思います。


いざとなれば手術!と言いたいところですが、手術不良や再発例などもあるため、保存療法で何とかしたいものです。

困っている人はこれらを参考にしていただければ何よりです。


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