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【小児の肺炎】WHOが定義する抗生物質投与は有効か?って研究

Friday, January 22, 2021

小児科



 今回はWHOが定義した重症化していない小児の肺炎に対する抗生物質療法について


5歳未満の小児が死亡する理由として、重症ではない肺炎によるもので、年間に約200万人が亡くなっている背景があり、WHOはこれに対処するために非重症肺炎を定義し、抗生物質を経口投与する治療を推奨しています。

紹介する研究では、この治療方法の根拠と、小児に抗生物質に対する耐性がもたれるリスクを上回る効果を調査したものとなります。


研究の内容

レビューの目的は、抗生物質の有無にかかわらず、非重度の肺炎と喘鳴のある2〜59か月の子供たちの転帰に違いがあるかどうかを確認しようとしたものです。

肺炎は肺の感染症であり、小児の主要な死亡原因の1としてもみられています。

現在、肺炎は、世界保健機関(WHO)のガイドラインに従って分類され、特定の臨床徴候と症状、疾患の重症度、および重症度に応じたその治療の評価が含まれます。

非重症肺炎の場合、WHOは経口抗生物質による治療を推奨しています。

2014年のWHOの非重症肺炎の定義を使用し、レビューしたものとなります。

一般的には、細菌によって引き起こされる肺炎に対し、合併症を避けるために抗生物質で治療する必要があります。

しかし、どの生物が実際に肺炎を引き起こしたかを、迅速に区別する明確な方法がないため、抗生物質を投与すると考えられています。

但し、これは抗生物質耐性の発生につながる可能性があり、将来の感染症での使用を制限する可能性があります。

今回の問題は、抗生物質の使用が非重症肺炎で適切なのかどうかです。

レビューは3つの試験(3256人の子供)を含めており、パキスタンの3つの都市(イスラマバード、ラホール、ラワルピンディ)の4つの病院と、インドとマラウイの病院外来で実施されました。

子供たちはアモキシシリン(抗生物質)またはプラセボの3日間のコースで治療され、2週間追跡されました。


結果として、限られたデータでは治療の失敗が20%減少したことが示されました。

しかし、臨床的治癒、再発、および治療の害に対する影響は観察されませんでした。

どちらのグループでも死亡は報告されていません。


レビューアの結論


現在、非重症肺炎の治療のための抗生物質の継続的な使用を支持または異議を唱えるのに十分な証拠はありません。2014年にWHOが定義した非重症肺炎と喘鳴のある2〜59か月の子供を対象に、RCTがこの問題に対処する必要があることは明らかです。


まとめ 

肝心な有効性や薬剤耐性に関する結論は出ないままでしたが、WHOが定義している治療方法の1つに根拠性が十分な証拠を持っていないということもわかった研究です。

薬剤耐性については、現在結構な規模での問題となっているため詳細は記載しなくとも良いかと思いますが、単に薬を飲んでも体が抵抗したり、効きにくくなったりすることを言います。

思わぬ耐性を獲得してしまう要因として、処方された分量や日数を守らずに、自己判断で薬の量や日数を変更したりすることが一番の理由ともされています。

しかし、この理由は一般的なものであり、生物に対する薬剤耐性はそれらをけい形質としてもつ薬剤耐性遺伝子というものが関与しています。

抗生物質に関しては、使用され始めてから、それが無効な菌やウイルスに対して処方され続けた結果によるものともされています。

無為な投薬も考え物なので、原因に対してしっかりと対処したいもの。


ラッシーZS、パダニZA、ダスJK、サラムRA、ブッタZA WHOが定義した非重症肺炎と喘鳴のある2〜59か月の子供に対する抗生物質療法と抗生物質療法なしの比較。システマティックレビューのコクランデータベース2021、第1号。アート。番号:CD009576。DOI:10.1002 /14651858.CD009576.pub3。

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