今回はアキレス腱断裂のガイドラインからまとめた内容をご紹介します。
概要
アキレス腱は下腿の腓腹筋とヒラメ筋からなる人体中最大で最強の腱起立・歩行などの運動に際して緊張と弛緩を繰り返し,
疾走する場合に大きな張力がかかります.
特にスポーツ中に受傷し,
急に疾走しようとした,
踏ん張ろうとした,跳躍などで断裂し,
疼痛や断裂感を自覚しやすいです。
蹴られた,ぶつかったと表現されることが多くなります。
治療法は保存療法,手術療法のいずれにもかかわらず臨床成績は良好で,
早期運動復帰と筋力の早期回復とを目指した治療が行われています.
診断
問診の段階でも想定はされることは多いです。但し、根拠性は薄いとされているため
医療従事者の方は決めつけないように気を付けないといけない時もあります。
そして見た目・触診で陥凹、grap signが見られ、つま先立ちが出来ないと
ほぼアキレス腱の断裂と判断されるようです。
画像診断は行わないこともあります。理由は臨床所見から判断ができるためです。
X線でも腱は写りませんが特徴は捉えられるため、診断可能とされています。
超音波検査でも非侵襲性かつ診断可能な特徴も捉えられるため使用されることもあります。※スポーツトレーナーの中には超音波検査機を持ち運んでいる人もいるとか・・・
MRIの検査は必須ではないようです。理由は前述の検査から診断ができるという
論文があり根拠性も高いものです。
鑑別にはアキレス腱炎など、腱炎・疲労骨折・付着部炎といった症状も考慮されていますが、論文からこれらを考慮する根拠はないそうです。
治療
手術
端々縫合術・・・再断裂リスクも低く、受傷前の状態に戻る確率は92%
Triple Bundle法・・・従来の方法より入院期間が短縮でき、治療成果も良好
経皮縫合術・・・観血療法と保存療法の中間の位置づけ。成果もよいが神経に対しての
リスクも多少はあるが、見かけの美容面などで有用性はある
そして術後は早期運動療法で、拘縮リスクを回避。
保存療法
キャスト固定・・・8週固定後でも再断裂のリスクは少なかった。と報告はあるが、
観血療法と比較すると再断裂リスクはある。
但し、感染や筋力の減少などのリスクは低く保存療法の選択を
することもある。
※スポーツ選手における特別な治療プラン・・・そのエビデンスはなく、
現在では特別なものを検討する必要はないとのこと。
ちなみにスポーツ復帰目安はテニスだと9か月はかかっていたそうです。