KeiS a medical professional

This is a blog about the scientific basis of medicine. A judo therapist reads research papers for study and writes about them.

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偏見を減少させる薬が存在する?って研究

Tuesday, January 26, 2021

精神科

今回は偏った思想を減らす薬が存在する?ということ。


偏った思想というものは、誰にでもあることです。

日本人は手先が器用とか。

アメリカ人は大胆、いい加減だ。とか。

中国人はマネをする。とか。


※私の偏見ではなく一般論を持ち出していますが、気分を害された方がおられましたら
 先にお詫びを申し上げます。


こういった偏り、人種差別という問題は無くそう!と言っても根強く残る地域やお国もあることは事実です。

それらが無くなる薬!?と一時期話題にもなった論文がありました。

Terbeck S, et al.
Propranolol reduces implicit negative racial bias.
Psychopharmacolgy(Berl). 2012;222:419-24


どういう研究か 


白人の健常ボランティア36人に対してβ遮断薬、プロプラノロール40mgを投与する群とプラセボを投与する群にランダム化割付をした二重盲検試験を行っていました。

投与から1~2時間後に人種についての潜在連想テストを受けてもらっています。

この潜在連想テストは、PCのモニターに黒人と白人の写真を出し、好ましいか否定的かを分けるというもの。


結果は

プロプラノロールは心拍数を減少させ、人種に対する偏見が減っていくという傾向が見られました。

また、プラセボ投与群に関してはこのような兆候は確認できていないようで。

但し、潜在連想テストの成否よりも薬に本当に影響をもたらす作用があったのか?
という疑問は残っているようで、言い切ることは難しいようです。

また、神経学的な検査が行われていなかったようですので、投薬した作用が扁桃体に影響したのでは?という議論も的を射ているのかは謎なところも。



だからといっても

今回は人種差別について実験されたものを紹介していますが、バイアスという点では思想の偏りも同じようなことが言えるのかと。

但し、現在の心理学的には思想の偏りが強すぎる人を説得しても無駄という見解もあるため、こういう薬に頼ってみても面白いのかも?と思ってもみました。

あまりいい結果にならないかもしれませんが。


別に聖人君子を気取るわけではありませんが、
人を変えるということは非常に困難で不明確なことが多いです。

ですので、思想の偏りが強い人を変えることよりも、自分自身の胸に手を当てて自分の思想に偏りがないのか?あったとしたらその思想は柔軟性を持つべきではないのか?という所から変えたほうが何だか上手くいきそうなもの。

私自身がそうやって音楽で凝り固まっていた芸術思考を科学思考に転換させたりした時も、自分のことから変えましたので。

その時やったのは、自分がこう!って考えていることをノートに書きだしてみて、
改めて認識し直す、人に聞くなどをやった方法を行いました。

今では患者のカルテでやってるぐらいですが、おススメです。

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