骨折の治癒を早めるための超音波
骨折の経験がある方は身をもって知っている骨折後のコストはかなりのものです。
治癒までの時間の長さは、骨折後の人の回復を決定する上で重要な要素です。
その回復を早めると言われている超音波治療は、骨折後の癒合までの時間を短縮するのに治療的役割を果たす可能性があると言われています。
紹介する論文では、成人の急性骨折治療の一環として低強度超音波(LIPUS)、
高強度集束超音波(HIFUS)、および体外衝撃波療法(ECSW)の効果を評価することです。
実際に経験されている方はいるかと思います。
でもそれは早かったと言える回復速度ですか?
専門家から言われる速度は、大雑把な目安から早いか遅いを判断しているため、
あまり参考にはしないほうが良さそうです。
では、研究結果からどれぐらい回復力がUPしているのか紹介します。
研究の内容は?
・12の研究から622人の参加者を対象にしています。
・8件の研究は無作為化プラセボ対照試験、
2件はプラセボ対照なしの無作為化対照試験、
1件は準無作為化プラセボ対照試験、
1件はプラセボ対照なしの準無作為化対照試験。
・11の試験がLIPUSを試験し、
1の試験がECSWを試験した。
4件の試験には保存的治療を受けた上肢完全骨折の参加者が含まれ、
6件の試験には下肢完全骨折の参加者が含まれた。
これらは4つの試験で外科的(手術など)に処置されました。
残りの2つの試験では、保存的治療を受けた脛骨骨折の結果が報告されています。
結果
・完全骨折に関する1件の研究では、
2つのグループ間で職場復帰までの時間に差があるという確証は得られなかった。
(平均差(MD)1.95日、管理に有利、95%信頼区間(CI)-2.18〜6.08; 101人の参加者)
2つの研究からのプールされたデータは、
LIPUSがストレス骨折を持った兵士や船員の訓練または職務に戻る時間に有意な影響を及ぼさなかったことを発見しました。
(MD-8.55日、95%CI-22.71〜5.61; 93参加者)
・8件の研究(446本の骨折)の結果をプールした後、
データはLIPUSで治療された完全骨折の合体までの時間に統計的に有意な減少を示さなかった。(標準化平均差(SMD)−0.47、95%CI −1.14〜0.20)
この結果は臨床的に重要な利益または害を含む可能性があり、
非常に有意な統計的異質性(I 2 = 90%)の文脈で見られるべきです。
・LIPUSおよび関連機器に直接関連する有害作用はわずかで軽微であり、
治療に対するコンプライアンスは概して良好でした。
・疼痛スコアについて報告したある研究では、
8週間でグループ間に差は見られなかった(101人の参加者)。
・1件の準無作為化試験で、ECSWを補給した内固定と内固定単独の間で12ヵ月の時点での組合の非有意差は認められなかった。
(3/27対6/30; RR 0.56、95%CI 0.15〜2.01)
3か月の追跡調査でECSWを支持する疼痛の視覚的アナログスコアに臨床的には小さいが統計的に有意な差があった。
(MD-0.80、95%CI -1.23〜-0.37)
報告された唯一の合併症は感染症で、2つのグループ間に有意差はありませんでした。
Griffin XL、Parsons N、Costa ML、Metcalfe D.成人の急性骨折に対する超音波および衝撃波療法。系統的レビューのコクランデータベース2014年第6号。番号:CD008579。DOI:10.1002 / 14651858.CD008579.pub3。
まとめ
この研究結果からは、骨折後の治療に超音波治療を加えても回復が早まる効果の証拠はありません。
治療に加えても有害な作用はないため、治れ~治れ~と念じながら実践すると良いことがあるのかもしれません。
但し、ECSWが支持されている例はあったため、そちらの「体外衝撃波治療」を使用した方が良さそうです。回復まで調査した期間の長さは気になりましたが・・・
超音波治療と体外衝撃波治療は全くの別物です。
専門の機関にどちらが備えているか事前に確認してみることも一つなのかもしれません。
私はECSWを使用したことがないので、ひじょ~うに気になります。
近くで備え付けている施設がないか探してみます。