今回は恋愛関係の心理学について
恋愛関係の発展と破綻について、心理学では様々な疑問の理論化を行っています。
別の記事で「デートの心理学」については記述しましたが、折角デートで関係を育んだとしても関係が破綻してしまったら・・・と考えます。
では、関係性はどのように変容していくのか?ということを認知して、今後どのような行動を起こすべきなのか?というヒントを紹介します。
ナップの対人関係モデル
人間関係が変化していく様子を5段階に分けて表現しているモデルがあります。
建築物を造るようなイメージでご覧ください。
発展のプロセス
開始
開始の段階は短い期間であり、第一印象がモノを云う。
互いの興味を示すために、外見、服装、ボディランゲージ、声などからパートナーの選別に入る
実験
相手のこと、共通事項、関心ごとなどを探りながら、互いに関する理解を深める段階。
強化
今までよりもプライベートな情報を伝え始め、警戒を解く段階。
この関係が育まれれば、気持ちの強まりと相手のコミットメントを期待し始める。
統合
関係はさらに深まり、互いの生活が1つになる場面が多くなっていく。
互いに傷つくことを厭わない関係となり、「愛の告白」などが行われる。
結束
2人の生活が始まり、自分たちの関係を公なものとする段階。
結婚という考えも出始め、互いの結束を永続的なものとする欲求も現れる。
崩壊のプロセス
相違
生活による重圧がストレスとなり、家族というよりは「個人」であることを尊重し始める。
結束が崩れ始めたと感じる段階でもある。
制限
蓄積した怒りが互いの間に壁を作り、コミュニケーションに障害が起き始める。
言い争いを避けるために、大切なことを伝えることをやめるカップルも出てくる段階。
停滞
関係が急速に悪化し、改善が難しくなる。
コミュニケーションはより一層に限られたものとなり、子供のために離婚しないという選択肢が出てくる段階。
回避
コミュニケーションがなくなり、同居していても別居しているような生活を送るようになる。
最終段階である「破局」を避けるため、よりを戻すという選択をもつカップルも現れはする。
終結
関係が終わる段階であり、夫婦であれば離婚、カップルであれば破局となり、互いに別々の生活を歩むようになる。
関係を保つ方法
積み重ね、作り上げた関係を維持するためにはこのような努力が必要になってくる。
・小さな罪を許すこと
・2人で過ごす時間を作ること
・互いの友人関係を共有すること
・相手が望むことをすること
・互いの愛情レベルを同じようにすること
「個人」を尊重し続ける思想にとらわれていると、困難になってくる事項が幾つもありますね。
このモデルは企業と顧客にも通じます
実はこのプロセスは企業と顧客にも通じるところがあります。
とあるブランドに興味を持ち、購入してみて、企業からの情報提供やサポートなどを受け、互いの必要性から関係を続けるように。
有数な企業が発展し続け、数多の企業が倒産したことも納得な話です。
コミュニケーションが大切だって話
コミュニケーションが重要となってくる場面はいくつかあり、互いの関係悪化の予兆に敏感に反応することや、パートナー選び、配偶者や恋人との関係性の在り方を改善するなど様々な要素がある。
まず、どれだけ「自己開示」を行えるのかが重要な1つである。
この自己開示は、関係性の初期段階で伝え合うことを行い、互いの本気度を感じるコミュニケーションにもなる。
恋愛関係におけるコミュニケーション
アメリカの心理学者ジョン・ゴットマン氏の提唱する「ゴットマン・メソッド・カップル療法」の理論によるとこれらのコミュニケーション手法がある。
Reactive listening
相手の言葉を否定せずに反応する。
間違っても相手の考えに「それは嘘だ」「そんなことしていない」「少なくとも~はしていない」「大げさに考え過ぎたよ」のような反応をすることはあり得ない。
ヒートアップすること間違いなし。
大事なのは自分への非難と受け取った言葉に対して、自分を守ろうとしないこと。
Active listening
話をする際は一般論よりも、「自分がどのように考えているのか」ということを意識して伝えるべきである。
相手への対応の仕方として「あなた」よりも「私」を主語にして話すことが重要である。
そして、ヒートアップした言い争いの場面でも、声の調子と大きさを抑え、緊張を和らげると、建設的に不和を解消するプロセスへのアプローチとなる。
男性はこれが出来ない人が多そうですね。
破局の心理学
ジョン・ゴットマン氏とコアン氏、カレール氏、スワンソン氏の研究によると、ネガティブなコミュニケーションは4つの段階を経て破局へと向かうと考えられました。
この4つの段階は、関係破綻の前触れともなっており、破滅の前兆にちなんだ「ヨハネの黙示録の四騎士」と呼ばれている。
非難:1段階
相手の嫌な行動に対し、話し合いではなく、相手の個性や人格の否定を口にする。
当然、否定された側は自分はダメな人間と感じるかもしれません。
対処方法
積極的に話を聞いて、自分の気持ちを伝えます。
この時に相手を責めることはしない。
そして、何故その行動が嫌なのかを説明する、ということに注意を払う。
自己弁護:2段階
パートナーの非難に対してネガティブに反応してしまい、言い訳をしたり、相手を逆に責めたり、その喧嘩の責任は自分にもあることは決して認めない。
そうなると、相手は不満を募らせるばかりである。
対処方法
きたるときには、自分の行動を謝り責任をとる。
パートナーの話を聞き、相手の不満を理解するように努める。
侮辱:3段階
侮辱的な態度をみせ、あからさまな軽蔑を表情に出す。
この段階で、相手を尊重するということが難しくなり、取り戻すには大きな努力が必要となる。
対処方法
自分が侮辱的な態度をとってしまうこと、自分の気持ちの同様を建設的に伝える難しさを考え直す。
パートナーの欠点よりも、良い面に目を向けることが必要。
逃避:4段階
顔を合わせる、気持ちを通わせなくなり関係から身を引く。
相手は見捨てられ、拒絶されたように感じます。
対処方法
1人で考える時間が必要ならば、相手にその考えを伝え、会話する準備ができた時に会話を再開する。
相手を拒絶するために距離を置くわけでないことを、相手にしっかり伝えるためにも行う。
まとめ
恋愛関係の心理学でしたが、社会における個人でのパートナーの話でも通じている部分はありましたね。
何故、そのような行動を相手が起こしてしまうのか?
話をしたくても相手が応じてくれない。。。
そういった不誠実さを感じることもあるかもしれませんが、関係性が良くなる、悪くなる時はお互いに原因があるってことです。
どちらかが一方的に、と排除するような考えはしない方が賢明です。