今回は頚椎後縦靭帯骨化症について
医療関係者でないと聞きなれない疾患かもしれませんが、
案外なってしまったりするものでもあります。
ガイドラインをまとめた内容を紹介します。
疫学
・日本人の発症率は諸外国の方々と比べても高い。
・女性と比べると男性が罹るリスクは2倍と言われています。
・50歳代での発症が多いとされています。
・脊髄症が発症した場合軽快する例がないため、積極的な治療が望ましい。
また、脊髄症を合併すると寝た切りになる例もある。
・生命予後への影響はないとされるが、脊髄症が合併した場合の影響はあるかもしれない。
転倒などにより、脊髄症の合併が起こりやすくなると考えられています。
・骨化が大きくなるのか?ということに家族歴の関連性はないとされる。
病理・病態
・後縦靭帯骨化症の遺伝性はエビデンスにより、関連性が認められている。
ex.兄弟では30%の確率で起こることもあるが、画像で骨化が確認されても無症候の場合もある。
・豆類などの植物を過剰摂取していると、本症の発症率が高まる?と考えられているが、
疫学・対照研究では否定する意見もある。
・骨・糖代謝の関連性もあるかもしれないが、証明できる証拠は現時点ではありません。
・副甲状腺機能低下症の既往は本症の発症リスクを高める。
・根拠性は中程度ですが、繰り返しの刺激により骨化するかも?と考えられている。
診断
・運動障害に関しては特有の障害はない。
神経障害、軽度の呼吸障害が起こることがあるが、無症候性の人もいる。
・全身性の骨化が確認されているため、胸椎後縦靭帯骨化、黄色靭帯骨化症と合併する率は高い。
・X線とCTで発見できる。
しかし、症状の発症原因と本症を結びつけることが困難になるため、経過観察と言われることもある。
・脊髄症の発症リスクとして、脊柱管前後径の絶対値を参考にすることは推奨されていない。
しかし、絶対値を計測する方法もあり、目安として6mm以下になると脊髄症の発症が考えられ、14mm以上あれば脊髄症が発症しないと考えられている。
・手術の決定は画像診断だけではなく、臨床所見も加味して決定するべきである。
・本症と耐糖能異常症の関連が多い、そのため糖負荷試験が必要である。
以下の項目に当てはまると後縦靭帯骨化症と判断される。
まとめ
頸椎後縦靭帯骨化症の概要は以上になります。
治療などは別の機会にまとめようかと思っていますが、対応する方法は幾つかあります。
症状の合併具合によっては困難な生活を送られることもあれば、
無症候でもあったりするので、症状の認識幅が広いものになります。
これを機会にどんな症状なのかご存知頂くだけでも変わってくるものもあるものです。