今回紹介するのは、マッサージとランニングに関する内容です。
マッサージ好きですか?
ランニング好きですか?
両方とも好きな人に向けた記事になりますが、
ランニング後にマッサージ療法を受けるとどんな効果があるの?
というもの。
研究の内容
研究は、10kmランニングした後の78人に対して行われたもの。
マッサージ療法として集中してアプローチされたのは、
大腿四頭筋周りだったようです。
実験群はスポーツの練習後の回復を目的とし、
大腿四頭筋へ10分間のマッサージを受け、対照群は偽関節動員を実施しました。
疼痛、疲労はそれぞれ、0〜10の数値評価尺度を用いて評価された。
マギル疼痛アンケートというもので、検証されています。
そして、ブルネルムードスケールによる気分をプロファイリングしておりました。
傾斜計による最大膝屈曲角度を用いた大腿四頭筋の柔軟性と、
等尺性の筋強度を手で支持して膝伸筋のチェック。
ジャンプ2アプリを介してジャンプの高さを使用して、
垂直方向のジャンプパフォーマンスも評価に入れており、
評価介入直前および介入直後、ならびに介入後24、48および72時間に実施した。
実験結果
実験群は、疼痛についての数値評価尺度において、
対照群よりも0.7ポイント(95%CI 0.1〜1.3)有意に低いスコアを有した。
他のどのアウトカム指標についても、グループ間の有意差はありませんでした。
マッサージ療法は、偽の技術と比較してランナーの四頭筋に適用した後に痛みの強度を減らすのに効果的でしたが、効果の大きさは小さかったです。
知覚される疲労感、柔軟性、強さ、またはジャンプパフォーマンスに大きな影響はありませんでした。
Paula Urio Bender Clarissa Medeiros da Luz Jonatan M Feldkircher Guilherme S Nunes
まとめ
マッサージで減らせる疼痛ポイントが0.7だったということで、
わかりやすく言い換えると、
疼痛を減らすことは期待できます。
でもその効果は少しずつ効くので、回数を重ねる必要があります。
ということだそうです。
マッサージ療法をガンガンやっているような業界の方は、
自分の介入で痛みが0になることに執着しています。
例えそれが望まれていなくても。
そんな時に予防線として訴えられる言葉が、
「時間がかかってもいいから治したい」
そんな言葉を何度も聞いたことがありますが、
あの時は手技に只ならぬこだわりを持ちながらやっていました。
そんなこだわりがあったため、他の方法を検討することは少なく、
結果的に患者さんに不利益を与えてしまうこともしばしばありました。
そんな経験があったため、エビデンスマーケティングを始めたということに。
そして、疼痛以外の疲労、柔軟性、パフォーマンスに影響が出ないということもご存知ください。
マッサージの種類によるから~みたいなお声も出てくると思います。
この論文で行われたマッサージ療法は、揉捏方法のようなもの
(圧をかけながら、四肢の近位から遠位にかけて動かす)だったようです。
但し、これが他の手技療法をとったから結果が大きく変わるのか?というところも疑問に思います。
この論文の結論をまとめますと、運動選手に対してマッサージ療法を実施した結果、
疼痛は軽減できる(但し緩やか変化する、そして0にはならなかった)
運動パフォーマンスの影響は良くも悪くもない
疲労感は変わらないまま
ということでした。
研究自体のサンプル数が少なかったりと、もっと研究された内容で変わりそうな結論ですが、現状はこんなところなんでしょう。