KeiS a medical professional

This is a blog about the scientific basis of medicine. A judo therapist reads research papers for study and writes about them.

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【意思決定】EBPのエビデンスについて

Friday, December 18, 2020

医療基礎知識

今回紹介するのは、理学療法とエビデンスについてです。

このブログは、医学と健康に関して後悔しないような選択肢をとってもらうために、 科学的根拠の高い論文などを紹介し、それをどう使っていくべきなのか?を私が解説・提案していくブログです。

エビデンスに基づく診療というのは、非常に重要なものとされますが、
国や考えによってはエビデンスよりも経験の方が優先されることがあります。

基本的に医療関係者の多くは、エビデンスに基づいた診療を行いますが、
私が属する東洋医学では、エビデンスよりも経験によるものが非常に強く感じます。

ちなみに、その中の柔道整復師は骨折や脱臼の対処については整形外科で考えられている整復と対処療法が周知されており、比較的エビデンスのある知識もありますが、
中にはそうでないものもあったりとします。

紹介するのはマレーシアの理学療法士を対象にした研究で、
エビデンスに基づいた医療を提供し、それらに対する実行力、抵抗感などを調べる研究です。

期間は2か月にわたり、122のアンケートを回収していました。

エビデンスに基づいた医療(EBP)を提供した結果、
治療の意志決定、ケアの手段が向上することが報告されています。

回答者の81%は研修に対して前向きな姿勢をみせ、
61%の回答者からはこの介入に対する決定的な根拠が示されていないとありました。

回答者の30%は月に2記事読んでおり、57%は月に2~5記事読んでいるような結果だったようです。

介入の障壁となる3つの要素がありました。
・時間の制限
・web検索の規制
・研究結果と一般的な場面が結びつきづらい


そもそも2003年からEBPを教育の中に導入していたのは5つの狙いがあり、
・臨床上の質問を得る
・最良の選択を得る
・結果の妥当性について考える
・専門知識とエビデンス、患者の価値観を合わせて実施する
・これらのプロセスが有効なのか評価する

これらが欠けてくるとEBPを介入させる意義から離れていくため、
EBPを導入するにはこれらの理解が必要である。


そして、研究の介入には2つのセクションがあるアンケートが実施され
・社会人抗統計学的データ
・EBPに対する知識
・EBPに対する姿勢
・EBPに対する抵抗感

について質問されていました。

回答者は25~34歳、うち52.9%が博士号を取得しています。
57.8%の回答者は2~5年の実務経験をしており、回答者の半数はEBPトレーニングを受けていました。

うち72.5%は検索スキルに自信があると答え、57.8%は評価に対して自信を持っていました。

66.7%の回答者はEBPが臨床上有効性のあるものと答え、回答者の95.1%は臨床上の意思決定に役立つと答えていました。


これらの結果からEBPに関する前向きな姿勢と捉えることができる結果でしたが、
以下のような懸念もあります。


臨床研究などによる結果に対するアクセス、または知識不足。
そして、意思決定をするために僅かな研究結果しか頼りにしていなかった。

ということもあります。


どんな研究で得られた結果かにもよりますが、
少なくとも臨床結果や動物実験で得られる結果に関しては、結論が変わることなんてしょっちゅうですので、僅かな結果を信じている人はEBPを実践できているのかは疑問に思います。

ちなみに、論文を読んだりする数が少ない、あるいは見ない人の傾向としては、
自己効力感が低く、学位も持っておらず、実務経験が少ないという傾向が見られているようです。

そして、病院などの組織の場合は時間的制約と患者対応していたほうが費用対効果も高いことから、EBPに関連する活動は妨げられている可能性があります。


ここからは私の意見ですが、EBPに関する知識は非常に役立つと思います。

それは、自分自身が見れる限界や未知の症状に対して、どのような結果が得られているのか?効率的なのか?が程度によるますが、EBPで知ることができるからです。

人伝えによる経験則での話は、正確に情報が伝わってこないことも多々あり、最終的には人による。という結果が待っていることもあります。

そんな蓋を開けてみないとわからないことは、医療業界では多くありますが、
少なくとも研究されている症例に関しては、そんなことをしなくてもいいように対策するべきだと思っています。

例えばですが、柔道整復師の中には筋痛や肉離れ、筋挫傷といった症状のある筋肉に手技を加えてしまう人もいるようです。

これも人伝えな話ですのであまり信憑性はないですが、通常受傷している筋肉への刺激は、さらに負傷を加える懸念があるため、EBPまで知らずとも基礎医学の知識からでは行わない行為です。

もしかすると、実施した柔道整復師はその方法で治ったと言われたことがあったため、
そのようにしているのかもしれません。

こういった苦情も聞きつつ、せめて係わる患者にはそのような状況は起こって欲しくないし、私自身も合理主義で効率良く解決していきたいので、EBPは取り組むべきだと思っています。

EBPを知ることで、1つの症状にも多数の方法でアプローチする選択肢が得られているので、非常に役立っています。


この研究では、医療従事者でも理学療法士が対象となっていましたが、元々理学療法士の行う方法はEBPに基づいたものは多いです。

ですので、日本で医療を受ける場合は自然にEBPの恩恵を受けているかと思われます。

そして、エビデンスマーケティングを実行したい企業さんは、国内外で使えそうなこの結果は参考に頂けるかと思いました。

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