今回はスナップ症候群の症例報告について
肩や手首などなど。
筋肉、腱と解剖学的に判明している走行路がありますが、
場合によってそれから外れることがあります。
動かしている際に外れたりするので、痛かったりもします。
紹介する症例報告では、膝関節のスナップ症候群について。
外れてしまった腱は、薄筋でした。
ではご覧ください。
症例
内側大腿、大腿骨の後内側角をひっくり返す薄筋腱によって引き起こされる屈曲/伸展運動中にスナップ現象を示す患者の症例。
30歳の女性は2年間、左膝の内側の側面にスナップを伴う痛みを経験していました。
能動的および受動的屈曲/伸展中の約30°の屈曲で内側大腿骨顆の後内側角にスナップが観察された。
X線撮影、磁気共鳴画像(MRI)、コンピューター断層撮影を含む画像検査、異常なし。
断続的な不快感とスナップに関連する障害を考慮して、手術が示されました。
手術中、膝の屈曲/伸展中に、薄筋腱が内側大腿顆の後端を越えて動くことが観察されました。
薄筋腱を切断し、近位の切断端を近位に引っ込んだ位置で隣接する半腱様腱に縫合した。
手術後、スナップの症状は解消されました。
内側大腿骨顆に関連した薄筋腱の前方にずれた場所が、この患者のスナップ現象の原因因子であると仮定した。
この患者の薄筋腱が異常な経路を通るかどうかを調査するために、患者集団における薄筋腱の位置は膝の怪我(26人の患者)を軸 MRIで検査した。
この研究集団では、薄筋腱は、26膝のうち21膝(81%)の内側大腿顆の後部に位置し、26膝のうち5膝(19%)の内側大腿顆の後内側角に位置していました。
しかし、この集団の症例のいずれにおいても、大腿骨内側顆の後縁の前方の薄筋腱の通過は観察されなかった。
この調査に基づいて、薄筋腱の異常な経路は、この患者で観察された断裂の主な要因であると考えられました。
臨床でやってしまいそうな誤診例
画像所見に異常が見られなかったという例。
画像も見ない状態であれば、軟部組織損傷を考えます。
しかし、所見により半月板などは除外されるということで、
筋肉に関連した病状を詮索します。
安易に判断するとなると、「筋膜炎」と答えを出してしまいがちかと。
まとめ
薄筋腱の異常な走行について知るための症例でした。
私自身も薄筋でのパターンは初めて知りました。
何らかの原因で起こる傷害の中には腱脱臼が併発している場合もあります。
視診でわかることもあれば、判断がつかないこともありますし、
理学検査などで判明しない場合もあります。
そんな時に安易に「筋損傷」と判断しないためにも知るべき症例かと思い、
紹介しました。
https://doi.org/10.1016/j.asmart.2014.02.001