今回はマラリアの伝染を防ぐための殺虫剤について
媒介となる生物に対処することでマラリアの伝染を抑えられるって考えで始められたこの研究。
単純かつ明確に行動できるこの対策は、実際のところどうなんだろう?というところで研究結果を紹介します。
研究の内容は?
4つの研究が選択基準を満たしレビューの対象となりました。
すべてが幼虫駆除剤の地上散布を使用しました。
1つは化学物質を評価し、3つは微生物剤を評価しました。
研究はガンビア、タンザニア、ケニア、スリランカで実施されました。
蚊の水生生息地の広がりが少ない地域(<1km²)と、生息地の広がりが大きい地域(> 1km²;ガンビアのクロスオーバー研究)で3つの研究が行われました。
1km²未満の水生生息地の場合、1つのcRCTがスリランカの8つの村を無作為化して、昆虫成長調整剤を使用した化学的幼虫駆除を評価しました。
また、ケニアとタンザニアで実施された2つのCBA研究では、微生物の幼虫駆除剤を評価しました。cRCTでは、すべての村での幼虫駆除は、幼虫駆除なしと比較して、マラリアの発生率の低下、および寄生虫の有病率と関連していた。
2件のCBA研究では、介入期間中のマラリア有病率の低下が報告されました。
ケニアの研究では、新しいマラリア患者の発生率の低下も報告されています。
1km²を超える水生生息地の場合、微生物殺虫剤を使用した非ランダム化クロスオーバー試験では、マラリア発生率、または寄生虫有病率はどちらも非常に低い確証でした。
ガンビアの試験でも平均ヘモグロビン値が報告されており、4つの比較で差はありませんでした。
結論
幼虫駆除に関するほとんどの対照研究は、微生物剤で行われています。非広範囲の幼虫の生息地に対する地上の幼虫駆除はマラリアの伝播に影響を与える可能性があり、大規模な水生生息地に影響があるかどうかはわかりません。航空機を使用した空中散布など、大きな水生生息地をカバーできる幼虫駆除の適用技術を使用した研究は見つかりませんでした。
まとめ
原因となるものを処分したため、マラリアの発生率は低下した。という低い証拠での結果がありました。
試みは面白いので、有害報告などなければやってみるべきなのかもしれません。
通常では質の低い試験の報告がなされると、続報を待つような書き方がなされますが、
この手の研究の場合はそれがないこともあります。
日本人の場合は、キャリアの人から伝播するか荷物などに紛れた蚊によって起こるかもしれませんが、一般人ができる対抗策となると蚊にさされずらくすることぐらいしか思いつきません。
臭いで刺されるという話もありますので、できる限りの対策で。
チェL、マジャンベールS、ウィルソンAL。マラリアの伝染を防ぐための殺虫剤。系統的レビューのコクランデータベース2019、第8号。番号:CD012736。DOI:10.1002 / 14651858.CD012736.pub2。