KeiS a medical professional

This is a blog about the scientific basis of medicine. A judo therapist reads research papers for study and writes about them.

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【心理学】睡眠環境を変える方法について

Tuesday, December 22, 2020

心理学

今回紹介するのは、睡眠を心理学的に分析している結果です。



人間の三大欲求である睡眠。

快眠グッズがたくさん売られている日本では、それだけ睡眠に対する欲望が深く渇望されていることが読み取れる状況でもあります。

でも、大掛かりな道具などに頼ることなく睡眠を改善できるかもしれません。

では、アメリカ心理学会から発表されている睡眠をより良い質に変えるヒントを紹介していきます。

論文の内容について


まずは睡眠障害の実態について。

NSF(1999~2004)によって調査された結果では約4000万人の米国人が70の異なる睡眠障害に悩まされているという事実が発表されていました。

大人の60%は週のうちに数日不眠に悩まされていますが、専門機関に受診するなどをせず問題を放置しているという実態も見られています。

成人の40%は週に2~3日の不眠症があり、昼間に支障をきたすなど報告もされています。
そして20%の人は週に3日以上は眠気について感じるような報告もあり、
69%の子供が週に1日は寝ることに問題を抱えていることが報告されています。



アメリカによる調査なため、日本では数値はかなり変わってくる結果が得られそうですが、正直不眠症だから専門機関に相談にいっても眠剤を渡されるだけなのでしょう?
という諦めた感情を抱いてしまう自分もいます。

経験談ですが、不眠に悩んでいることを相談してもあまりいい応対をしてくれなかったうえに、薬飲めば大丈夫だからとそれを渡されただけでしたので、私の不眠症は薬なしでは改善できないものなのか?とも感じました。

別の研究について


次は過度の眠気の兆候ってどんなもの?ということ。

ペンシルベニア大学医学部の専門家David.F.Dinges博士によると眠気の兆候とは
過敏になる、気分が高揚するというきっかけがあるようです。

そして兆候が見られてもそのまま不眠が続いてしまうと、感情的に乏しくなったり、言語機能が低下したり、タスクを複数こなすことが難しくなったり、記憶にも支障が出てきます。

そして、この状態では読書などしている際に数秒居眠りをしたりするようになってきます。


寝ないことを美談のように話すような人達がいますが、寝不足なため安定した思考も出来なくなっており、感情面でも乏しく=相手の感情を察することもできなくなってくるため、どんな風に反応を示しているかも知らずの相手に自慢してくるようになるのでしょう。

そんな人が周りにいましたら、寝不足でパフォーマンス悪いのかな?と思うことが良いみたいです。



そして、必要とされる睡眠量に関しては一般的に8時間と言われています。

但し、時間に関しては個人差があるため一概に時間を決めることもできないようですね。

睡眠障害と意志決定力


次に睡眠障害と意志決定力が低下することに関してです。

デトロイトのHenry Ford病院の睡眠障害を研究しているRoehrs博士は、不眠が意志決定力に悪影響を及ぼしている研究を発表していました。

研究結果から、睡眠不足な人の傾向としては選択を迫られてもよく思考をせずに、安易に結論を出し、結論を出すための時間を削ろうとし重要なことを見落としている。
ということがわかりました。

重要な判断を迫られているような人が、不眠症になるとパフォーマンスがかなり下がり、
そして交通事故など命に係わることでさえも決断が遅れることを想像するのは容易いことかと思われます。



では、どうやって睡眠障害を改善しようか?ということに関しては2004年にニューヨークタイムズに掲載されていました方法を紹介します。


聞いたことがある方もおられると思いますが、
認知行動療法で改善するという治療法です。


実験はアンビエン(睡眠薬)、認知行動療法(CBT)、両方、プラセボを63人の不眠症持ち、そうでいない健康な人を含んだ対象者に行われたもの。

CBTを実施されたグループは6週間で30分のセッションを5回受けてもらっていました。
介入内容は、ストレスを感じる原因を認識し、それについて改善、変化させるというもの。
そして、どうしても眠れない場合は睡眠時間を遅らせても良い、寝る前にやってはいけない行動とやるべき行動も教えられていました。


3週間後、アンビエンとCBTを併用した患者の44%が睡眠薬のみの29%と比較すると眠りに入るはやさが増していたことがわかりました。

CBTを受けた患者は実験前と比べると眠りに入るまでに半分の時間で眠りに入ることができるようになりました。

まとめと対策


そして、研究者たちは安眠をとるためにこのように対策を教えてくれています。

・睡眠時間のスケジュールを一定化する
・就寝4~6時間前のカフェインを避ける
・就寝前、夜中の喫煙を止める
・寝る前のアルコールと重たい食事を止める
・定期的に運動する
・睡眠環境を整える(音、光、温度など)
・目覚まし時計を使わない


CBTに関しては慢性不眠症の7~8割の改善結果が見られています。

臨床医は患者の睡眠を記録に書き出します。
・就寝、起床時間
・起きる回数
・眠りにつくまでの時間
・睡眠の質

これらから、その人が問題を抱えている原因を引き出し、改善させるための行動をしていきます。

例えば夜中にテレビを見ているから不眠症になった→テレビを見ることを止めさせるなど。


そして、不眠症に対する考えも改めることもあります。
それは8時間寝ないといけない。
しっかり寝ないと明日病気になるかもしれない。
薬を飲まないと眠ることなんてできない。

こういった思い込みを変えないかぎり、心理学的には不眠症を改善したとは言えないからです。


CBTは根気のいる方法です。


患者も専門医もお互いに。



不眠症になって良いことなんてありませんので、
私のように本当に悩まれている方は改善するために以上のことを知り行動するきっかけとされてみてください。


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