今回紹介するのは、慢性疲労症候群と運動について。
このブログは、医学と健康に関して後悔しないような選択肢をとってもらうために、 科学的根拠の高い論文などを紹介し、それをどう使っていくべきなのか?を私が解説・提案していくブログです。
慢性疲労症候群とは?
名前の通り疲労状態が慢性的に続き、身体的だけではなく精神的な影響もある症状のこと。
紹介する論文では、疲労状態にある場合でも運動療法を行うことは転帰に影響があるのでは?ということで研究されています。
慢性疲労症候群(CFS)患者の運動療法(ET)の効果を決定することでした。
•運動療法と「受動的管理」
(例:通常通りの治療、待機リスト管理、リラクゼーション、柔軟性)
•運動療法と他の積極的な治療
(例、認知行動療法(CBT)、認知療法、支持療法、ペーシング、抗うつ薬などの薬理学療法)
•他の特定の治療戦略と他の特定の治療戦略を組み合わせた運動療法
(例:薬理学的治療と薬理学的治療を併用した運動)
これらの内から比較し有意となり得る結果を研究しています。
8件のランダム化比較試験を含め、1518人の参加者からのデータを報告しています。
1994年の米国疾病管理予防センター(CDC)の基準を用いて、
3人の研究者がCFS患者を診断した。
5人はオックスフォード基準を使用した。
運動療法は12~26週間継続させました。
7件の研究では、有酸素運動の強度に関して、散歩、水泳、サイクリング、ダンスなどの様々なレベルの有酸素運動療法を非常に低いものから非常に厳密なものまで使用した。
対照群は、受動的対照、認知療法、支持聴取、ペーシング、薬理学的治療、
併用療法。
研究者らは、971人の参加者を登録した8件の試験で運動療法と「受動的」対照を比較した。
7つの研究が一貫して運動療法の後に疲労の減少を示しました。
重篤な有害反応は両群でまれであった。
そして、睡眠に関しては運動療法後に正の効果を報告した。
研究者らは2つの試験(351人の参加者)で運動療法と認知行動療法(CBT)を比較した。
1件の試験(298人の参加者)は、0〜33ポイントの評点システムを用いて11項目の尺度を用いて2群間で治療終了時の疲労にほとんどまたは全く差がないと報告した。
どちらの研究も追跡調査時の疲労の差を測定したが、どちらもスコアが0〜33ポイントの11項目の疲労スケールと9つのグループの疲労スケールを用いて2つのグループ間の差を見つけなかった。
重篤な有害反応は両群でまれであった(RR 0.67、95%CI 0.11〜3.96)。身体機能、鬱病、不安、睡眠にはほとんどまたは全く違いは見られませんでした。
また、疎らな結果ではあるが、投薬などの療法よりも運動療法を支持する結果も出ていることがわかった。
結論からは、CFS患者は一般に運動療法後に恩恵を受け疲労が軽減される可能性がある。
運動療法が転帰を悪化させるという証拠は示唆されていない。
睡眠、身体機能および自己認識された一般的な健康に関して好ましい効果が観察されていますが、疼痛、生活の質、不安、鬱病、脱落率および医療サービス資源の結果に関する結論はあり得ませんでした。
Larun L、Brurberg KG、Odgaard-Jensen J、Price JR。慢性疲労症候群に対する運動療法 系統的レビューのコクランデータベース2017、第4号。番号:CD003200。DOI:10.1002 / 14651858.CD003200.pub7
筋力トレーニングとは別な運動であるため、他の療法と比較しても副作用のリスクがほとんどなく介入できる方法としてコストを掛けなくてもできるため、慢性疲労症候群と判断されている方々は是非!
と言える研究結果ではないでしょうか?
あくまでも疲労面が主な結果でしたが。
個人的な体験談としてもこの論文の結果と当てはまることがあります。
整骨院で勤務している時に朝から夜遅くまで勤務し、
昼の休憩時間は勉強したり、練習、休息などをとっていたため、運動をして疲労を軽減するという発想にも至りませんでした。
疲れているなら寝る!というばかりなもので。
独立してからは、運動ができる時間を確保することができたのでスポーツジムに通い始めてからは慢性疲労症候群?という自覚は無くなりました。
どれぐらいの運動を?
という場合は研究で行われていた30~60分あたりの運動時間で十分かと思います。
あくまでも痩せる、筋力をつける!となると介入の方法は変わってはきますが、
疲労を軽減させるためには軽度の運動を上記の時間で取り組まれることが良いです。
そんな時間ないよ・・・
という場合なら通勤などの時間で30分ほど歩く時間を確保する。
ということからでも良いのかと。