今回は心理学的にプラセボを活用する方法について。
シュガーピル、偽薬など言われることがあり、
日本では眉唾物な健康商材に対して、プラシーボ商品と言われることで耳にする方もおられると思います。
体に対して作用しないのに、作用しているかのように効果のあることが、
プラセボ効果というものですが、心理学的にどのように活用するべきだろう?
という研究が行われていましたので、その結果を紹介します。
どんな論文?
PudMedというサイトから検索し、180を超える記事からレビューしているものです。
具体的な活用方法
〇期待
期待は特定の結果の想像力であり、プラセボ効果が発生する可能性がある中心的なメカニズムです。
期待度とプラセボ効果の強度との間の接続があります。
期待は言語情報、薬の出現、以前の経験、そして患者と医師との相互作用によって影響され得ます。
プラセボ効果の強さは、治療情報がポジティブ、ネガティブ、またはニュートラルのどちらであるかによって異なります。
したがって、薬理学的治療の総合的な効果は、生物学的に活性な成分と生物心理社会的状況要因(例えば、プラセボ効果)からなります。
例えば、Krellらは、ある患者がその薬に対して肯定的な期待を持っていた場合、ある抗うつ薬の効果が強化されることを見出しました。
彼らは薬は「非常に効果的」であろうと考えたとき、改善の期待とその患者の最大90%は、彼らの抑うつ症状の緩和を経験しました。
比較すると、彼らは薬が "やや効果的"であると考えた場合、改善を経験したのは33%のみでした。
後の研究で匹敵する効果が見つかりました。
ということや
〇精神生理学的に考えると
プラセボ効果は、社会的な望ましさの偏りの結果としてだけではなく、生理学的効果であると考えられてもよい。
これは、脳波検査、心拍数の変動性、または機能的磁気共鳴画像法などの調査方法を利用した多数の研究で文書化されています。
例えば、Wagerらは、機能的磁気共鳴画像法を使用して、プラセボの投与後に脳の疼痛に敏感な部分の活動が低下したことを示しました。
〇臨床的意義
プラシーボ効果にかかわらず、治療を文書化する方法だけでなく、特定の治療の効果を強化するために働くことができること。
およびいくつかの研究は、多くの臨床医が臨床現場におけるプラセボ効果を引き出すことが示されています。
アメリカとイスラエルからの2つの研究は、臨床医では医師の約半数がプラセボ薬を使用していることを発見しました。
このような研究から得られた知見は、報告の偏りが寄与している可能性があるアンケート/インタビューにのみ基づいていることに注意すべきです。
したがって、結果をすべての医師に一般化することはできないことも考えられます。
〇効果的な使い方
治療の結果と、疾患とその治療に対処するための患者の能力に関する前向きな期待を伝えることが重要です。
医師は、例えば、特定の治療が有効であることを示す情報を提供することによって、これを行います。
または治療の背後にある基本的なメカニズムを記述しています。
一例として、ベネデッティとAmanzioは、負の提案が正のヒントで置換されていなければならないことをお勧めします。
たとえば、「ここにあなたの鎮痛剤があります」を「これがあなたがよりよくなるのを助けるためのある薬です」に変更します。
患者さんは治療法と望ましい結果について明確に理解している必要があります。
中心的な原則は、現実的な楽観主義と希望を伝えることです。
治療を受けた患者さんの前向きな経験もまた、心理的条件付け効果により長期のプラセボ効果につながる可能性があります。
Bystad M、Bystad C、Wynn R.プラセボ効果はどのようにして臨床現場で最も効果的に適用できますか?物語レビュー。Psychol Res Behav Manag。2015; 8:41–45。2015年1月29日公開。doi:10.2147 / PRBM.S75670
まとめ
「患者と医療提供者の信頼感」が必要になるプラセボ。
プラセボとは関係なく、信頼感に関すると治療計画にとっては不可欠なものになっているため、ある程度のプラセボ効果というものは医療現場でも活用されている事実はありそうなもの。
しかし、問題となるのは倫理的なもの。
プラセボ効果を間違って使うと、効果がないものを効果があるように提供することになります。
例えばですが、「1型糖尿病の患者に対しインスリンなんて打たなくていいですよ。
画期的なこの健康食品はインスリンの代替えとなり、貴方の体から薬害を取り除きます。」
ん~書いてて思うのはこんなこと言う人いるのかな?
まぁこのように効果がないものを恰も効果があるように伝え、生命の危機に陥れては何の狙いで?ということです。
この論文にも、プラセボ効果はしっかりと説明する必要があります。
説明をしても、患者がそれを納得していれば生理的に体が反応するという研究結果もありました。
と述べられています。
この点には賛成です。
どう捉えられるかはその人次第ですが、このような活用方法は望ましいと感じます。