ばね指(trigger finger)は一般的な症状の一つ
屈筋腱の直径とA1プーリーとの間に障害が起き、指を伸ばすときの痛みと引っかかりが特徴的な症状です。
治療アプローチは、非外科的または外科的治療が選択されます。
現在、最善の外科的治療アプローチについてはコンセンサスがない状況です。
紹介する論文には、成人でばね指と評価されている人を対象とし、
あらゆる種類の外科治療と他の非外科的介入と比較するランダム化または準ランダム化比較試験をレビューしていました。
研究の内容は
検証するのは、ばね指の解消、痛み、手の機能、参加者が報告した治療の成功または満足度、誘発の再発、有害事象および神経血管損傷です。
・合計1260の参加者から1,361のばね指が対象となりました。
・参加者の年齢は16〜88歳、女性(約70%)。
・症状の平均期間は3〜15ヶ月の範囲。
・手術後の追跡調査は8週間〜23ヶ月の範囲。
この論文では、9種類の比較が報告されています。
・開放手術とステロイド注射(2つの研究)
・経皮的手術とステロイド注射(5つの研究)
・開腹手術とステロイド注射+超音波ガイド下ヒアルロン酸注射(ある研究)
・経皮的手術とステロイド注射対ステロイド注射(1件の研究)
・経皮的手術対観血的手術(5件の研究)
・内視鏡手術と観血手術(1件の研究)
・切開手術のための3種類の切開の比較
手掌遠位部のしわの皮膚の横方向の切開、
手のひらの遠位側のしわから約2〜3 mm遠位の皮膚の横方向の切開、
皮膚の縦方向の切開
・ほとんどの研究には重大な方法論的欠陥があった。
結果
主に紹介できるのは、開腹手術とステロイド剤を比較した試験です。
この中で、開腹手術が最も古く最も広く使用されている治療方法であり、
ステロイド注射と比較して、観血的再発が少ないという点で開腹手術が有益であるという質の低い証拠がありました。
6ヶ月から12ヶ月までの2つの試験(270人の参加者)で、
50/130人は、8/140人と比較してばね指を再発した。
観血手術群ではRRが0.17、絶対リスク差が29%少ない人が観血手術で症状が再発した。
1週間後、ステロイド注射群の9/49人が開腹手術群の38/56人で手のひらに痛みを感じました。
絶対リスク差では49%以上が観血手術で痛みがあった。
一つの結論ですが、ステロイド注射と比べますと観血的外科治療は、治療後6ヶ月から12ヶ月までの再発率が低くなる可能性があります。
但し、この論文で述べられていたようにエビデンスレベルとしては低い質のものだったため、実際に治療を受けるときに外科手術を選択して再発や症状の改善が確たるものではありません。
よって外科的手術が絶対に支持されるというデータは得られていないことになります。
まとめ
私が両方の小指にばね指が出ているので、個人的に気になって紹介しました。
手術しても再発のリスクはあるのはわかるけど、後10%低かったら・・・
なんて考えてしまいました。
症状で悩んでいて治療を選択しようとされている方がおられましたら、
ばね指の治療実績のあるところで・・・とお伝えします。